ドナルド・トランプ政権が打ち出した景気浮揚策が議会の反対で行き詰まった。日本政府は現金支給と旅行・食費補助などの破格の支援策を打ち出したが、東京オリンピック(五輪)の延期の可能性という暗礁に乗り上げた。

新型コロナウイルス感染症(COVID−19)への対応のためにトランプ政権が緊急編成した2兆ドル(約220兆円)規模の予算案が22日(現地時間)、米国上院で否決された。ニューヨークタイムズ(NYT)は「米国史上最大規模の緊急景気浮揚予算が野党・民主党の反対で行き詰った。60票を得れば可決されるが、賛成47票、反対47票だった」と伝えた。現在、米国の上院は共和党議員53人、民主党45人、無所属2人の計100人で構成されている。

米国与党の共和党と民主党の間で水面下の交渉が続いているが、原案のまま「無事通過」する可能性は少ないものとみられる。民主党の反対が強力だからだ。米国メイン州の民主党上院議員のスーザン・コリンズ議員は、トランプ政権の予算案について「非常に無責任で賢明でない措置」とし「彼らは火遊びをしている」と批判した。民主党はトランプ政権の案が企業の保護に集中しているとし、労働者の失業防止など、実効性のある対策を追加するよう求めている。

トランプ政権が出した2兆ドル規模の予算案は米国の成人1人当たり1000ドルの災害手当の支給、中小企業の資金支援、失業保険給付の拡充などの内容を含んでいる。米連邦準備制度(Fed)が進めている7000億ドル規模の国債は不動産担保証券(MBS)の買い取りを含む措置だ。

先立って21日、トランプ政権の国家経済委員会(NEC)委員長を務めるラリー・クドロー氏は「(今回の景気浮揚予算パッケージは)国内総生産(GDP)の10%に相当する額」と述べた。2018年基準で米国のGDPは約20兆5000億ドルだ。10%に相当する2兆ドル以上の財政投資が新型コロナウイルス感染症対応のために行われるということだ。単一災害をターゲットにした緊急予算としては米国史上類例のない規模だ。

しかし、この案は民主党の反対や実効性論争にぶつかり、上院の敷居を超えられなかった。期待が大きければ失望も大きい。新型コロナウイルス感染症緊急予算案が否決されたというニュースが出るなり、株式市場は再び崩壊した。同日夜の株式先物市場でS&P500は取引中に一時価格制限幅(−5%)まで低下し、取引が停止された。

新型コロナウイルス感染症がアジアを越えて北米・欧州など世界全域に拡散したことで、各国が競うように超大型浮揚策を打ち出しているが、市場を安定させるには力不足だ。日本政府は現金・商品券の支給、旅行・食事代補助などを含む30兆円以上の緊急経済対策を検討中だ。しかし、この日の参院予算委員会に出席した安倍晋三首相は「(完全な形の五輪実施が)困難な場合には、アスリートの皆さんのことを第一に考え、延期の判断も行わざるを得ないと考えている」と述べた。安倍首相の五輪延期を示唆する初めての発言だ。

新型コロナウイルス感染症による経済衝撃がますます拡大し、金融市場も大きく揺れている。アジア市場は23日午前、開場と同時に急落し始めた。午前10時17分現在(韓国時間)、KOSPI(韓国総合株価指数、−5.78%)【終値1,482.46 -83.69 -5.34% 】と日経平均株価(−0.28%)【終値 16,887.78 +2.02% +334.95】は共に下落している。(?)

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2020.03.23 15:30