中国政府の高官は30日の記者会見で、アメリカやヨーロッパで新型コロナウイルスの感染が拡大していることによる中国の輸出の落ち込みに強い懸念を示しました。中国では国内の消費も落ち込んだままで、今後、急速な景気回復を目指す上で大きな課題となっています。

中国で製造業などを所管する工業情報化省の辛国斌次官は、北京で30日に記者会見を行いました。

この中で辛次官は、28日の時点で大企業の98.6%、中小企業の76%が操業を再開したとして、経済活動は順調に回復しているとアピールしました。

一方で辛次官は、ことし1月と2月の2か月間の中国の輸出額が、去年の同じ時期よりも16%近く減ったことを踏まえ「国際的な感染の拡大で、わが国の輸出は一段と悪化するだろう」と述べ、アメリカやヨーロッパで感染が拡大する中、輸出がさらに落ち込むとして強い懸念を示しました。

中国では、さらに国内の消費にも懸念が出ています。

中国商務省は28日、今月27日の時点で、国内のデパートの売上が去年の同じ時期の半分程度、飲食業や宿泊業などの売上は35%程度にとどまっていることを明らかにしています。

中国政府は、国内での新型コロナウイルスの感染がピークを過ぎたとして、今後、景気を急速に回復軌道にのせたい考えですが、輸出の落ち込みや国内の消費の減退を克服できるのかどうかが大きな課題となっています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200330/k10012357701000.html
NHKニュース 2020年3月30日 16時29分