新型コロナウイルスの感染拡大で、安倍晋三首相は6日、緊急事態宣言を発出すると表明した。諸外国では「東京オリンピック(五輪)への未練を捨てられなかった」(韓国メディア)などとして、安倍政権の対応が後手に回ったとの厳しい見方が出ている。

トランプ米政権は安倍首相の新型コロナ対策を尊重する姿勢を貫いている。ただ、米国内では日本政府が今夏の東京五輪開催をにらみ「感染リスクをできるだけ低く見積もってきた」(アジア外交専門家)との認識が広がっている。

在日米大使館も3日、日本政府がウイルス検査を広範に行わないと決めたとして、感染状況の把握が困難になっていると指摘。「数週間後に医療体制がどのように機能しているかを予測するのは難しい」として、日本に滞在する米国人に帰国準備を呼び掛けた。

中国でも、政府が日本の新型コロナ対策について批判めいた言動を控える一方、一般市民の間では「なぜもっと強い防疫措置を取らないのか」(北京市民)との声が強かった。中国当局は都市ごと封鎖するなど個人の権利を制限する措置を次々に打ち出している。中国紙は、日本で緊急事態宣言が出る見通しだと報じる記事で、各国の措置とは異なり強制力はないようだと報じた。

韓国では「不透明で消極的な防疫措置により、国際社会から不信感を持たれている」(大統領府)などとして自国と比べて検査数の少ない日本に疑いの目が向けられてきた。

東京五輪の延期決定後に感染者が急増したことから、韓国紙、朝鮮日報は「五輪開催に向け、検査を先送りしてきたのではないか」との見方を報じた。(共同)

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日刊スポーツ [2020年4月6日19時34分]