京都府長岡京市内で今月予定されていた精神科医・香山リカさんの講演会について、市が「後援を基に参加した市民が、トラブルに巻き込まれる可能性がある」として、名義使用の後援申請を不承認としていたことが14日、分かった。

2018年の南丹市の催しで、香山さんの出演を巡って妨害を示唆する予告があったことから判断したという。香山さんは「臨床の場から見た現代社会に関する講演で、混乱を来す内容ではない。言論弾圧が起きてすらおらず、行政が想定の中で萎縮してしまっている」と落胆した。

講演会は、25日に長岡京市中央公民館(同市天神4丁目)で予定されていた「診察室から見えるリアルなニッポン−貧困、差別、ハラスメントとうつ病」。

主催する乙訓社会保障推進協議会は、後援申請を依頼したが、市は「行政運営に支障が生じる恐れがある」として、不承認とした。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催は延期されている。
 
担当の市秘書課は、京都新聞社の取材に「公共施設の貸し出しは行っており、催しや言論の自由を制限する意図はない」とした。

その上で、18年11月に南丹市などが主催した講演会で、香山さんが出演予定だったが、妨害予告の電話があったため別の講師に差し替えた事例から対応を検討したといい、「市民に影響を及ぼす可能性があり、安全を第一に考えた」という。
 
香山さんは「今回の講演内容で、何を持って支障が生じるのか。1年以上前のことに効力を持たせてしまうのなら、脅せば半永久的に活動の機会を奪う風潮を生む。私個人にとどまる問題ではない」と話した。


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