津市の公益財団法人「反差別・人権研究所みえ」は23日、新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、社会に広がりつつある差別や人権侵害に対し、取り組みを強化するよう求める要請書を、鈴木英敬知事と三重県内市町の首長に提出した。鈴木知事は「重く受け止め、これまで以上にしっかりと取り組んでいきたい」と応じた。


 病気が恐怖心をあおり、人々を差別に駆り立てた事例は、ハンセン病患者への人権侵害など、枚挙にいとまがない。こうした事実を踏まえ、同法人の松村元樹事務局長は「負の歴史を繰り返さないための早急な対応を」と求めた。

 要請書は、感染者に対する差別言動やインターネット上のヘイト投稿、デマの流布などが全国各地で相次いでおり、「『被害者』を、あたかも『加害者』のように扱う事態が生じている」とも指摘。その上で、効果的な防止策と、人権教育・啓発への取り組みを要請した。


 感染者への差別事例は県内でも起きている。鈴木知事は20日の会議で、感染が確認された市民の家に石が投げ込まれてガラスが割られたり、壁に落書きされたりする被害が出ていることを報告した。この事例に対しては、ネット上の掲示板に「ざまあみろ」との書き込みまであるありさまだ。鈴木知事は「誰がいつどこでかかるかわからない状況の中で傷つけ合っても意味がない」と懸念を表明していた。

朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASN4R76JMN4RONFB00W.html
差別の歴史繰り返すな