【声明】新型コロナウィルス感染拡大における、在留資格を有しない人々に関する声明
2020年4月24日

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、新型コロナウィルスが感染拡大する中、入管収
容施設に拘束されている人々が強制的に感染リスクにさらされていることについて深刻な
懸念を表明します。

新型コロナウィルスは日本国籍や在留資格の有無を問わず、分け隔てなく罹患します。も
とより、人間の尊厳は日本国籍や在留資格の有無により異なるものでありません。

そこで、当団体は、政府に対し、日本国籍や在留資格の有無にかかわらず、等しく新型コ
ロナウィルスの脅威から全ての人の生命・身体を保護するため、以下の対策を講じること
を要望します[1]。

1 入管収容施設に収容されている人をすべからく仮放免すべきこと

日本では、退去強制令書が発付された人を、「送還可能のときまで」[2]、逃亡の具体的
な危険がなくとも、在留活動を禁止するために収容しています[3]。
入管収容施設に収容されている人[4]は、通常、収容施設は6人部屋などの複数人で12畳な
どの部屋に閉じ込められており、収容施設内の感染リスクから逃げることができない状況
にあります。彼らに逃げ場はありません。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国際移住機関(IOM)、国連難民高等弁務官事務所
(UNHCR)及び世界保健機関(WHO)は、共同声明において[5]、「新型コロナウィルスの
感染拡大が致命的な結果を招きうることを考慮すると、彼らは遅れなく解放されるべきで
あり、移民の子どもとその家族、十分な法的根拠なしに収容されている人々は直ちに解放
されるべきである」としています。
また、欧州評議会(Council of Europe)のミヤトビッチ(Dunja
Mijatović)人権特別報告官もその声明において、「全ての加盟国に対し,収容中の申請
を却下された難民申請者の解放を要請する。収容は,強制送還を待つ間だけ合法な措置と
みなされるというのが理由である」としています[6]。
以上のとおり、収容により強制的に感染リスクにさらされることはあってはいけません。
当団体は、入管当局が仮放免を柔軟に運用すること[7]を歓迎しつつ、逃亡の具体的な危
険のない場合の解放の徹底など[8]、さらなる仮放免の促進を求めます。また、帰住先の
ない者も、収容代替措置として居宅を用意した上で、直ちに解放されるべきです。

2 今後、新たな収容を原則として行わないこと

2020年4月17日、法務大臣は「入管施設感染防止タスクフォース」を設置することを明ら
かにしました[9]。しかし、収容を維持する目的で、新型コロナ感染症の対策として処遇
を検討するのではなく[10]、収容そのものを最小化し、今後、新たな収容は原則として行
うべきではありません。前述のように、収容される以上、新型コロナウィルスの感染リス
クに強制的に晒されます。また、収容を維持するために、感染リスクの低減に莫大な費用
をかけるのであれば、その財政支出は新型コロナウィルス感染症に関する他の支援措置に
用いるべきです。したがって、人身の自由を最大限尊重し、収容そのものを限界まで回避
すべきです。

http://www.labornetjp.org/news/2020/1587718276716staff01