韓国青瓦台は26日、7大基幹産業に対する資金支援を行う代わりに支援先企業の株式などを取得する案を検討していると表明した。ただ、「該当企業の経営に介入しようというわけではない」と一線を画した。

 青瓦台幹部は「株式とリンクした証券などを政府が取得する方式を検討している」と述べた。政府が企業の転換社債などの証券を買い入れることで資金支援を行う構想だ。青瓦台は企業の経営が正常化し、株価が上昇した段階で保有株式を売却し、売却益を国民と共有することになるとしている。

 韓国政府は今月22日、40兆ウォン(約3兆4900億円)規模の「基幹産業安定基金」を創設する方針を明らかにし、雇用維持、自助努力と並んで、「利益共有」を資金支援の条件として掲げた。それを巡り、「政府が企業経営に干渉するか、国有化を試みるのではないか」という論議が巻き起こった。青瓦台関係者は「単純に融資を通じた方式では目標を達成できないため、収益を共有することができる株式とリンクしたさまざまな案を検討可能で、制度設計過程に反映されることになる」と述べる一方、「経営に介入しようというわけではない」とした。しかし、産業界は懸念している。経営干渉への懸念を払拭するためには、企業の経営正常化を判断する基準とそれに伴う政府の株式売却時期などを明確に規定すべきとの意見だ。

 政府は基幹産業支援案を発表するに際し、「企業が正常化すれば、(資金支援時に取得した)株式を処分することで利益を共有する」とし、「経営介入なき利益共有」が原則だと強調した。 殷成洙(ウン・ソンス)金融委員長も24日、「企業の株式にリンクした証券を取得したとしても、それは企業価値が上昇した際に利益を国民と共有するための物にすぎず、議決権は行使しない」と述べた。共に民主党の李学永(イ・ハギョン)国会議員ら与党議員13人が23日に発議した「産業銀行法一部改正案」は「出資によって取得した株式については議決権を行使しない」とする条文を盛り込んでいる。

 しかし、改正案によると、資金支援時の「利益共有」など政府が明らかにした3条件以外に「経営改善努力を尽くすこと」を求めており、「その他必要と認められる事項」も条件に掲げることができるようになっている。その点を巡り、産業界からは「抽象的な文言で経営に干渉するのではないかとする懸念が依然として存在する」との指摘が聞かれる。こうした中、青瓦台の黄悳淳(ファン・ドクスン)雇用首席秘書官は「国民の税金で支援した企業が再生すれば、その利益を当然国民と共有する仕組みが必要だ」と強調した。

 一方、青瓦台幹部は政府が創出を目指すとした青年・公共部門の55万人分の雇用に関連し、「来年まで念頭に置いたものではない。長期的、持続的に維持される雇用というのは難しい」と説明した。一方で、「通貨危機当時とは状況がかなり異なる。危機克服の前提条件は雇用維持だ」と語った。

辛殷珍(シン・ウンジン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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2020/04/27 09:11