【社説】元慰安婦の「だまされた」発言を「親日勢力の攻勢」と主張する韓国与党勢力

 慰安婦被害者支援団体という正義記憶連帯(正義連)の寄付金使用の内訳が不透明だとする論争を巡り、韓国の与党「共に民主党」の議員が「親日、反人権、反平和勢力の最後の攻勢」だと発言した。「きょう沈黙したら、保守のならず者の剣舞はいくらもたたずにわれわれの首を狙うようになるだろう」とも語った。同党の初当選者も「親日勢力の恥ずかしい歴史隠しの試み」と言った。すると、疑惑の当事者である尹美香(ユン・ミヒャン)「共に市民党」当選人も「私に対する攻撃は保守メディアと統合党が作った謀略劇」「親日勢力の不当な攻撃」と主張した。「6カ月かけてごっそり暴き立てられたチョ・グク元法相を思い出す」とも発言した。

 この人々は、自分たちの恥部があらわになると、謝罪したり頭を下げたりせず、むしろ頭をもたげ拳を突き出す特性を持っている。韓国国民も、ひんぱんに見てきたので今では慣れている。ところが今回のケースでは、最初に問題を提起した人物が、ほかでもない元慰安婦だった。李容洙(イ・ヨンス)さんは、「正義連」に「だまされるだけだまされ、やられるだけやられた」と暴露した。「(正義連の)寄付金がどこに使われたかも分からない」と語った。衝撃的な告白だった。このせいで、正義連の元理事長だった尹美香当選人の娘の米国留学費問題、故人となった元慰安婦が作った奨学金を遺志とは異なり市民団体幹部の子弟に支給した問題、正義連が飲み屋で実際にはおよそ430万ウォン(現在のレートで約38万円。以下同じ)使ったのに「3300万ウォン(約289万円)使った」と申告していた疑惑などが次々と持ち上がったのだ。

 常識がある人なら首をかしげざるを得ない疑問だ。なのに民主党議員や尹当選人は、これを「親日派の攻撃」だと言う。ならば李容洙さんや、疑問を持った韓国国民は皆親日派になるわけだ。21世紀の韓国で、何者か親日派がいると言って虚空に拳を振り回すのもあきれてしまうが、自分たちの恥部があらわになったからといって元慰安婦まで「親日勢力」だと非難できるのか。

 正義連の異常な形態は毎日噴き出している。元慰安婦らの葬儀を受け持ってきた互助会社に1170万ウォン(約102万円)払ったと言っていたが、同社は「無料で行っただけで、お金を受け取ったことはない」と主張した。そのカネはどこに行ったのか。これを明らかにしようというのに、保守・進歩と何の関係があるのか。正義連は、やましくないのならきちんと明らかにすればよく、捜査であっても受けるつもりだと出てくればよいことだろう。国税庁も、正義連の会計の誤りを確認し、修正公示命令を下すことにしたという。国税庁も親日派か。

 それにもかかわらず、正義連の理事長は「外部監査は受けられない」と拒否した。全ての疑惑提起は親日反人権反平和勢力の攻勢にすぎないという。韓国国民が元慰安婦に寄付したお金を勝手に使ったという疑惑が、元慰安婦によって提起されたのに、この件について透明に明らかにはせず「親日派」節を歌っている。

 言葉でのみ「正義」「公正」「民主」「人権」を独占してきたこの人々は、自分の恥部があらわになると、いつもこうしたやり方で逆切れする。10余りの容疑で裁判にかけられたチョ・グク元法相は、ありとあらゆる破廉恥、うそ、家族の違法行為があらわになっても、自らを犠牲の羊であるかのように見せかけている。「あくまで戦いたい」という。この人々は、それでも選挙に圧勝したので、この方法が通用すると思っているのだろう。今後も「親日派」節は続くだろう。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2020/05/13/2020051380056.html