金大中(キム・デジュン)元大統領と李姫鎬(イ・ヒホ)夫人=いずれも故人=の遺産をめぐり、次男の金弘業(キム・ホンオプ)金大中平和センター理事長と三男の金弘傑(キム・ホンゴル)共に民主党当選人が争っていることが29日、明らかになった。

週刊朝鮮が同日、明らかにしたところによると、次男・弘業氏が理事を務める財団法人金大中記念事業会(権魯甲〈クォン・ノガプ〉理事長)は今年4月1日、三男・弘傑氏に「金大中元大統領のノーベル平和賞賞金とソウル市麻浦区東橋洞の住宅は、故・金大中元大統領と故・李姫鎬夫人の意思をたたえようという国民の財産であって、貴殿個人の資産にはなり得ないことを明言する」という通知書を送ったとのことだ。

これは、三男・弘傑氏が昨年6月の李姫鎬夫人死去後、東橋洞の私邸と金大中元大統領のノーベル平和賞賞金の所有権を手にしたことを受けてのものだ。三男・弘傑氏は先月の国会議員総選挙に出馬して当選したが、公職者資産リストによると、東橋洞の私邸(32億5000万ウォン=約2億8000万円)が資産に含まれていた。

三男・弘傑氏はまた、李姫鎬夫人が金大中元大統領の逝去後、ハナ銀行に預けていたノーベル平和賞の賞金8億ウォン(約7000万円)も引き出したという。だが、同氏は公職者資産リストでこの8億ウォンを現金や預金として申告していなかった。

次男・弘業氏側は、三男・弘傑氏が東橋洞の私邸の名義を弘傑氏に変更し、ハナ銀行に預けたノーベル平和賞賞金を引き出したのは、李姫鎬夫人の遺言にも反すると主張している。

昨年6月の李姫鎬夫人死去後に公開された遺言状で、同夫人は「東橋洞の私邸を『大統領私邸記念館』(仮称)として使用せよ。ノーベル平和賞の賞金は大統領記念事業のための基金として使用せよ」と書いていた。

そして、李姫鎬夫人は▲東橋洞の私邸を金大中・李姫鎬記念館として使用すること ▲東橋洞の私邸を地方自治体および支援者が買い取り記念館として使用する場合は、賞金の3分の1(9分の3)は金大中記念事業会に、残りの3分の2(9分の6)は三兄弟に均等に相続する、とした。

遺言状の内容とは異なり、東橋洞の私邸と現金8億ウォンを三男・弘傑氏が手にすることができたのは、同氏が李姫鎬夫人の法定相続人だからだと見られる。

金大中元大統領の3人の息子のうち、長男の弘一(ホンイル)元国会議員=2019年4月死去=と次男・弘業氏は元大統領と最初の夫人・車容愛(チャ・ヨンエ)さんとの間の子だ。金大中元大統領は1960年の車容愛さんの死去後、李姫鎬夫人と結婚して三男・弘傑氏が誕生した。

民法によると、父親が死亡した場合、前妻の出生子と継母との間の親族関係は消滅するものと規定されている。このため、従前の血族関係は否定される。よって、継母と前妻の子との間には相続権が発生しない。

これにより、金大中元大統領の死去後、李姫鎬夫人と長男・弘一氏、次男・弘業氏の間の相続関係はなくなった。

法曹関係者の間では、次男・弘業氏と三男・弘傑氏の間で法的攻防が続けられるだろうと見られている。次男・弘業氏側は李姫鎬夫人の遺言の方が優先されると主張しているが、三男・弘傑氏は李姫鎬夫人の遺言よりも法定相続人としての権利の方が優先するという見解を持っている。


2020/05/30 08:16/朝鮮日報日本語版
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