■ボルトン氏「トランプ大統領、第3次会談拒否」、青瓦台「具体的意見交換」

 ボルトン氏の回顧録によれば、昨年4月11日にホワイトハウスで開かれた韓米首脳会談で、文大統領は第3次米朝首脳会談を執拗(しつよう)に勧めたが、トランプ大統領は「非核化合意が優先だ」として、文大統領の要求を数度拒んだとされる。

 当時青瓦台は北朝鮮の寧辺の核施設と一部の重要施設を廃棄する代わりに米国が一部制裁を緩和する「グッドイナフディール」という仲裁案を示し、第3次米朝首脳会談を推進したとされる。

 文大統領はトランプ大統領に「(第3次米朝首脳会談は)世紀の首脳会談になるよう、劇的なシーンを望む」として、板門店または米海軍艦艇での会談を提案したが、トランプ大統領は文大統領の言葉を途中で遮り、「一度の会談が結論なく終わるのは問題ないが、二度も退席することは誰も望まない」と拒絶した。

 会談の最後に文大統領は北朝鮮に6月12日から27日までの間に第3次米朝首脳会談を提案するとし、「北朝鮮の核問題では実務レベルではなく、高官級の会談が必要だ」と主張した。これに対し、トランプ大統領は「日付は構わないが、その前に北朝鮮と(非核化)合意がなければならない」と遠回しに拒否し、「(高官級会談は)ポンペオ国務長官とボルトン補佐官が行うだろう」と語ったという。



 しかし、聯合ニュースなどによると、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は当時、メディア向けの発表文で、「(首脳会談を通じた)『トップダウン方式』が韓半島の平和プロセスに必須だとの認識で一致した」とし、「トランプ大統領は北朝鮮の金正恩氏との対話の扉が常に開いていると強調した」と指摘した。そして、「韓米交渉は今後非核化交渉を推進し、第3次米朝首脳会談を開催する案について、具体的な意見を交換した」と説明した。



 ボルトン氏の回顧録によれば、トランプ大統領は非核化合意まで会談は行わないと数回強調したとされるが、鄭室長の発表文はまるでトランプ大統領が「トップダウン」方式で首脳会談を行うことについいて、「具体的に意見を交換」したことになっている。

 青瓦台幹部も「今回の会談は韓半島の非核化と平和定着に関する具体的・現実的プランを虚心坦懐に話し合う機会になった」とし、「非核化交渉過程でトップダウン方式を通じた大きな進展を成し遂げることはもちろん、そうした方式の有効性についても一致した」と語っている。ボルトン氏と青瓦台関係者が同席していたとは信じ難いほど互いの主張はかけ離れている。

■青瓦台「対北朝鮮支援案を深く協議」、ボルトン回顧録には記述なし

 ボルトン氏の回顧録では、シンガポールでの第1次韓米首脳会談直前の2018年5月22日、ホワイトハウスで行われた韓米首脳会談に関する描写は相対的に短い。回顧録によれば、トランプ大統領に文大統領は「(北朝鮮の脅しで)シンガポールでの首脳会談が実現する可能性は25%程度」と語ったが、文大統領は「そんな可能性(会談が実現しない可能性)(はゼロだ」と楽観的に答えた。

ホワイトハウスは既に会談中止をひとまず決めていた状態だったが、韓国は全く気づいていなかった。
 回顧録によれば、トランプ大統領は席上、「なぜ専門家は(北朝鮮の)豊渓里(の核実験場爆破)を訪れないのか」と尋ね、ボルトン氏ら側近の多くは、金正恩氏が自身の発言をまともに理解しないまま、試験場閉鎖を口頭で約束したと確信していると答えた。

 聯合ニュースによれば、同日の会談について、青瓦台は報道資料を通じ、「両首脳は特に板門店宣言に従い、(北朝鮮が)『完全な非核化』を履行した場合、北朝鮮に明るい未来を提供するための具体的な方策についても深く協議した」と説明した。しかし、そうした記述はボルトン氏の回顧録には登場しない。万一青瓦台の発言通りに「深い協議」があったならば、対北朝鮮強硬派であるボルトン氏がそれを回顧録に書かないはずはないと思われる。

 また、青瓦台幹部は「トランプ大統領は北朝鮮の核実験場爆破イベントの取材に韓国の記者が行くのかにも関心を示し、文大統領は諦めずに懸命にやっていると答えた」とも述べている。しかし、ボルトン氏の回顧録によれば、トランプ大統領は核専門家が現地で検証を行ったかどうかに関心を抱いていたと記述されている。

ワシントン=趙儀俊(チョ・ウィジュン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2020/06/23 12:01
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