2020.07.09 14:03

 1950年に始まった朝鮮戦争で北朝鮮の捕虜になり、終戦後も抑留されて強制労働などをさせられたとして、元韓国軍の男性2人が北朝鮮と金委員長を提訴していた裁判で、ソウル中央地裁は7日、金委員長に1人当たり2100万ウォン、日本円にしておよそ190万円を払うよう命じる判決を下した。韓国の裁判所が北朝鮮や金委員長に賠償命令をするのは前代未聞のことだ。

 訴えを起こしていたのは韓国軍捕虜のノ・サホンさん(91)とハン・ジェボクさん(86)で、2000年以降に北朝鮮から脱出、2006年、強制労働による搾取と慰謝料などについて、1人当たり1億6800万ウォン(約1510万円)を請求する裁判を起こしていた。

 判決から一夜明けた8日の労働新聞のトップには金委員長が祖父の金日成主席、父の金正日総書記が眠る太陽宮殿を訪れたことを報じていて、賠償命令の記事はなかった。原告側は韓国メディアが北朝鮮の朝鮮中央テレビの映像を使う際に発生する著作権料を差し押さえる方針だという。

 今回の判決について、元毎日新聞外信部デスクでジャーナリストの西岡省二氏は「非常に驚いた」と話す。

 「そもそも裁判所は門前払いにするのではないかと思っていたし、南北関係がこじれ北朝鮮が態度を硬化させていた中なので、判決も忖度するのではないかと思っていた。おそらく北朝鮮側は裁判に参加せず、反論を一切していないはずだし、訴状に書かれていることがそのまま認められたということではないか。控訴審、上告審があったとしても北朝鮮側は出てこないだろうし、そのままこの判決が確定するのではないか」。

 今回の判決を機に、他の元捕虜や拉致被害者などからの訴訟が相次ぐ可能性もあるのではないだろうか。実際、朝鮮戦争拉致被害者らは先月25日、北朝鮮当局と金委員長を被告とした損害賠償請求訴訟を起こしており、“ワームビア方式”に乗り出すという。これは北朝鮮に不当勾留され、帰国後に死亡した米大学生オットー・ワームビアさんの両親が北朝鮮を提訴(2018年)、
損害賠償として約10億ドルの賠償を求めたことを踏まえたもので、米・連邦地裁は約5億ドルの支払いを命じるも北朝鮮側は拒否したが、両親は米・政界・ユダヤ人ネットワークを使い、北朝鮮の国外資産約2379万ドルを差し押さえている。

 西岡氏は「今回の判決は、これまで諦めてきた人たちにとっても、“風穴を開けた”ということになると思う。元捕虜や拉致被害者だけでなく、爆破された開城で働いている人たち、あるいは金剛山で観光事業をやろうとしていた現代峨山などの企業、脱北者たちからも、精神的な苦痛や人権侵害を訴え、損害賠償を求める動きにもつながってくる。
日本や外国の法が及ばず、コンタクトも取れない北朝鮮が相手であれば諦めざるを得ないと思いがちだが、ワームビアさんの両親は息子さんの無念を晴らすという強い気持ちを持ち、ユダヤ人ネットワークや政界をフルに動かした。そのようにした北朝鮮の秘密資金を執念でつきとめるのを見て、こういうやり方があるのかと目覚めさせられた」とした。
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://times.abema.tv/posts/7061859

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