>>1の続き。

日本銀行と韓国銀行は、2005年5月27日にチェンマイ・イニシアティブと別枠で、上限を30億ドル相当の自国通貨とする円・ウォンのスワップ協定を結んでいる。2008年12月にはこれを200億米ドル相当に、2011年10月には1年の期限付きで300億ドル相当まで増額した。

さらに別枠で、300億ドル相当の期限付きドル・自国通貨スワップを政府間で締結し、チェンマイ・イニシアティブのスワップと合わせて総額700億ドル相当にまで拡大していたのだが……。その後、李明博元大統領の竹島上陸を機に日韓関係が悪化し、日本銀行と韓国銀行のスワップは2013年7月3日の期限到来と同時に終了、チェンマイ・イニシアティブのスワップも期限を迎えた2015年に延長することなく終了した。

■韓国ではカネを貸した側が、返して欲しいと頭を下げて…
 
現在、韓国はスイスと100億スイスフランを上限とするスワップを締結しており、カナダとは上限を定めず、中国と560億ドル相当、インドネシアと100億ドル相当、オーストラリアと77億ドル相当、マレーシアと47億ドル相当の通貨スワップをそれぞれ締結しているが、いずれも相手国通貨による協定だ。基軸通貨はカナダドルとスイスフランのほか、チェンマイ・イニシアティブ(アジア通貨危機後の圏内セーフティネット)のマルチ化契約による384億米ドルしかない。

また、韓国のスワップはカナダを除くと半分近くが中国だ。米最新鋭ミサイル防衛システム「THAAD」の在韓米軍配備を機に中韓関係が悪化し、期限到来と同時に中韓スワップが終了する懸念が生じたが、中国が延長に合意して韓国は胸をなでおろした。しかし、中韓スワップは、韓国ウォンを担保に中国元を貸し付ける契約であり、中国が韓国企業に売ったものの代金の回収不能を回避する協定に過ぎない。

今年3月20日、米国は韓国を含む9か国とスワップ協定を締結したが、それは米国がコロナ禍で米ドルが不安定になることを恐れた時限スワップだ。

韓国銀行が4000億ドルの外貨準備高があると豪語するなか、国策銀行の韓国輸出入銀行は流動性外貨がショートし、今年3月、サムスン電子に泣きついて借金を申し入れた。

輸出入銀行は1月から3月に45億6600万ドル、4月に29億7700万ドルの外貨を調達したが、3月と4月に69億3400万ドルの外貨支出が集中。ドルを多く保有する機関投資家に打診したものの、コロナ禍で市場が硬直しており、輸出入銀行は確実な大口投資先を求めて、サムスン電子などグローバル企業に相談し、外貨社債を発行した形だ。

国策銀行の輸出入銀が発行した債券は、国の格付けと同じAA等級で人気が高く、満期まで保有しなくとも、コロナ禍が収束すれば機関投資家に良い条件で売却できる。発行金額や条件は明らかになっていないが、低金利時期に良い投資になったであろうことは想像がつく。

韓国銀行は米韓スワップ協定の締結から2か月で3分の1に相当する188億ドルを市場に供給した後、追加供給を中断した。返済に不安を感じたからだ。

韓国ではカネを貸した側が、返して欲しいと頭を下げてやっと返済してもらえるが、米連邦準備制度理事会FRBには通用しない。そのことに遅ればせながら気づいたようだ。

日本企業は韓国に売った代金を円またはドルで請求する。すべてを円で請求すると、円・ウォンのスワップ協定がない韓国は保有するドルやユーロを売って円を買い漁るしかないからだ。買い漁りで円高が進行すれば保有外貨の目減りは避けられない。覆水盆に返らず。

>>おわり。