れいわ新選組の選択肢

 著者は、昨年6月の論攷「『山本太郎現象』を読み解く」において、この現象の背景を分析したうえで、今後についてこう予測した。

 「新自由主義的実践のもとで、労働組合の交渉力は徹底的に奪い去られ、ゼロ年代に入ると「格差と貧困」が先進国において深刻化していくことになる。このように、労働組合が政治経済的な力を失うことで、民衆の経済要求実現の回路が封じ込められてしまっていることが、「金を刷れ」を掲げるポピュリズムが台頭する原因なのである」

 「これから山本太郎は、極右排外主義的な傾向をもつ支持層も吸収していくだろうが、山本太郎自身がそのような排外主義的傾向に陥るとは思えない。左右を問わない民衆の情念を広義の「リベラル/左翼急進主義」の器に留置し、その要求を政治的に可視化することは、民主主義の体力を強化することにつながっていく」

 この論攷から1年を経て、れいわ新選組に極右排外主義的な傾向を持つ支持層が生まれたことがはっきりした。ではここから、ふたたびリベラルな陣営に立ち戻ることは可能なのだろうか。

以下略