【北京時事】中国の最高指導部人事を決める2022年秋の共産党大会に向けて、現在2期目の習近平党総書記(国家主席)が長期政権の確立を目指して動き始めた。党内には新型コロナウイルスの感染拡大後、米国との激しい対立を招いた習氏に対する不満がくすぶるが、習氏は35年までの長期計画を策定する方針を打ち出し、政権運営の主導権を握っている。

 毎年8月上旬には河北省の避暑地、北戴河に最高指導部を構成する政治局常務委員会のメンバーや引退した長老らが集まり、非公式な会議が開かれる。関係筋によると、北戴河では要人用の別荘地を中心に厳重な警備態勢が取られている。今月に入り、習氏ら大半の指導者の動静が報道されておらず、内政や外交について北戴河で意見交換が行われたもようだ。

 当面、中国内政の焦点は10月に開かれる党の重要会議、第19期中央委員会第5回総会(5中総会)だ。7月30日の党中央政治局会議が、5中総会の主要議題として「35年までの長期目標」を示したため、習氏が「3期目続投の布石を打った」という見方が広がっている。総書記に明確な任期制限はなく、国家主席についても18年の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で任期制限が撤廃され、習氏は終身体制を視野に入れている可能性がある。
 一方で、中国を取り巻く状況は厳しさを増している。新型コロナ、香港、南シナ海などの問題で、米国との対立は深まる一方だ。高圧的に他国を非難し自国の利益を主張する習指導部の「戦狼外交」は「世界で中国に対する反感」(アジアの外交官)を広げた。国内でも新型コロナによって経済が打撃を受け、「知識人を中心とした習氏への不満」(党員)は高まっている。

 ただ、党と軍の要職は習氏の支持勢力が固めており、「習氏に逆らう有力者はいない」(外交筋)という見方が強い。習氏の「強国路線」を「多くの一般大衆が依然支持している」(北京の大学教授)ことも習氏に追い風となっている。

時事通信 2020年08月09日06時44分
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