中国では長年、ビジネスや商売での信頼の向上が強調されてきた。しかしなかなか実現せず、詐欺まがいの行為や製造業での偽装などが今でも横行している。一方、日本は社会における信頼や誠実が実現している数少ない国だ。中国メディア百度は「日本は世界一信頼を重視する国」と評し、その理由を探っている。

 まず記事は、日本がどれほど安心して暮らせる国かということを示すいくつかの例を挙げている。例えば、財布をズボンのポケットに見えるように入れていても誰も盗らない。財布をおとしたら警察に届けられ、帰ってくることがある。さらに、車が通っていない横断歩道でも赤信号なら立ち止まる。さらに、マンションのベランダには避難用の脱出スロープが用意されているが、それを悪用して別の階の他人の部屋に侵入する人もいない、とも述べている。

 では、なぜ日本という社会はこれほど「正直さ」や「信頼」を重視するのか。その理由として中国メディアは「日本人が古代から互いを一つの氏族、家族とみなしてきたことに関係する」と述べている。「古くは封建社会の“主従関係”の中でこうした社会における結びつきがはぐくまれ、その関係性の中で互いに対する「信頼」という基盤が築かれてきた。

 こうした歴史的な背景を持つ日本は、まず社会の中で自分の行いが他の人にどんな影響を与えるかを考える。さらに、正直さを重んじる考え方には儒教的な道徳観も影響を与えている。こうした考え方を子供のころから培っている日本人は自然と責任感を教えられ、知らない人に対してでも誠実に行動するようになった。互いに騙し合わず、信頼によって社会を築くという良い社会的風潮が日本をこれまで発展させてきた」と分析している。

 記事は、日本では人々の信頼を裏切った結果も非常に悲惨、と述べている。例えば、食品偽装を行った食品会社の社長が、社会的に糾弾され会社は倒産、経営者も自殺に追い込まれた例もあった。

 記事は、まとめとして「信頼のない社会は立ち行かなくなる。誠実さこそ社会の基盤。しかし、中国は今信頼性の危機に陥っている。“安いものはニセモノ”という考え方が染みつき、いつでも他人に対し猜疑心を持っている。中国の人々が日本人のように互いを信頼できるようになるのはいつのことだろうか」と述べている。

 ただ、封建制度や主従関係、儒教といった考え方は中国にも古来からあったものだが、中国と日本にこれほどの違いが生じた理由については特に説明はなかった。(編集担当:時田瑞樹)(イメージ写真提供:123RF)

サーチナ 2020-08-13 22:12
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