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集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法の成立から19日で5年です。
アメリカ軍の防護などを通して日米の一体化は進み、自衛隊の役割は拡大しています。
一方、これまでのところ、この法律に基づき自衛隊が武器を使用する事態は起きていません。

政府は、憲法解釈の変更によってそれまで認められていなかった集団的自衛権の行使を容認し、5年前の9月19日、その行使を可能にする安全保障関連法が成立しました。

この法律に基づき、自衛隊がアメリカ軍の艦艇や航空機を守る「武器等防護」は初めて実施された3年前は2件でしたが、おととしは16件、去年は14件行われ、日米の一体化が進んでいます。

さらに、去年4月からは安全保障関連法に基づく初めての「国際連携平和安全活動」として、イスラエルとエジプトの停戦監視にあたる「多国籍軍・監視団」の司令部に陸上自衛隊の隊員が派遣され、法律の成立以降、自衛隊の役割は拡大しています。

一方、この5年間に集団的自衛権の行使が可能になる「存立危機事態」や地理的な制約なく、外国の軍隊に弾薬の提供などを行える「重要影響事態」に認定されたケースはなく、安全保障関連法に基づく任務で自衛隊が武器を使用する事態は起きていません。

こうした中、自衛隊は任務が付与された時に、すみやかに対応できるよう海外で緊急事態に巻き込まれた日本人の保護や国連のPKO活動での「駆け付け警護」などを想定し、武器の使用も含めて訓練を重ねています。

在外邦人保護などの任務付与に備え訓練続ける

安全保障関連法に基づく任務が付与された場合に備え、自衛隊はさまざまな訓練を続けています。

今月11日、東日本にある演習場では、陸上自衛隊の部隊が海外でテロなどに巻き込まれた日本人を保護することを想定した訓練を行っていました。

「在外邦人等保護措置」と呼ばれるこの任務は安全保障関連法によって可能になりました。

それまで、自衛隊は輸送しかできませんでしたが、救出や警護も行えるようになったのです。

訓練では、日本人の一時避難場所に装甲車などが近づいて、周囲の警戒に当たったほか、小銃を持った隊員が保護した日本人を守りながら航空機に乗せる手順を確認していました。

また安全保障関連法では、自分たちの身を守るためだけではなく、人質などを救出するために武器を使用することが認められ、自衛隊はこうしたケースを想定し、実際に射撃する訓練も行っているということです。

NHKニュース 2020年9月19日 5時50分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200919/k10012625881000.html