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天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する(憲法6条1項)

天皇は、国会が指名した「菅義偉」を内閣総理大臣に任命することを拒否できるか?
答えは、もちろんNO。
理由は、天皇の前に国会が指名しているので、こういう場合、天皇の任命は「形式的任命」
と解釈する。
また、実質的な理由として、天皇は象徴(憲法1条)なので、政治的な判断は出来ない
(憲法4条1項)。

同様に日本学術会議法7条2項は
「会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」
と規定する。

内閣総理大臣の任命の前に日本学術会議の「推薦」があるので、
やはり内閣総理大臣の任命は「形式的な任命」で内閣総理大臣に任命拒否権はない、
と解釈することになる。

●国会の「指名」と学術会議の「推薦」は違うという反論について●

また、日本学術会議法25条は
「内閣総理大臣は、会員から病気その他やむを得ない事由による辞職の申出があつ たときは、
日本学術会議の同意を得て、その辞職を承認することができる。」

更に、日本学術会議法26条は
「内閣総理大臣は、会員に会員として不適当な行為があるときは、日本学術会議の 申出に基づき、
当該会員を退職させることができる」

と規定し、辞職も退職も学術会議の同意や申出を必要とし、内閣総理大臣単独では出来ない。
これは、日本学術会議法3条に規定する「学術会議の独立性」の結果である。

特に26条は重要で、会員に不適当な行為があっても、会議の申出がない限り内閣総理大臣は会員を
退職させることができない。これは、会議の独立性が強く、事実上の人事権は学術会議側にあることを
示すものであるから、就任時においても、会議の推薦に対して任命拒否は出来ないと解釈せざるを得ず、
憲法6条1項と同様に、日本学術会議法7条2項の内閣総理大臣の任命は「形式的な任命」と解釈する
ことになる。

従って、菅の任命拒否は違法である。
また、百歩譲って、仮に何らかの理由で任命拒否が出来ると解釈できたとしても、学術会議の独立性や
事実上の人事権を担保するために、任命拒否の理由を開示しないことは許されない。

尚、日本学術会議法において、学術会議の独立性がこれほど強く打ち出されているのは、とりもなおさず
この法律が「学問の自由」を尊重し、政治の介入を制限しようとしているからなのです。
それ故、この独立性を侵すことは、学問の自由への侵害となるのです。