中国はこれまで、アフリカ諸国に莫大な資金を投資し、存在感を強めてきた。そのためか、アフリカ諸国では中国への好感度が高くなっていたが、最近では中国とアフリカの関係性は変わってきているようだ。

中国メディアの今日頭条は12日、中国がアフリカにこれだけ巨額の投資をしてきたのに、アフリカでは中国語が重視されておらず、広まってもいないと不満を示す記事を掲載した。

記事の中国人筆者としては、「中国はアフリカに莫大な投資をしてきたのだから、アフリカの人々は中国に感謝し、中国語などの中国文化が広まるべきだ」と考えているようだ。しかしアフリカに中国語が広まることはなかったという。

記事は、調査プロジェクト・アフロバロメーターによる2000人のアフリカ人を対象にした調査結果を紹介。「世界で最も重要な言語」を問う質問に対して、中国語と答えた人は2%しかいなかったそうだ。

また、中国に好感を持つと答えた人の割合も、5年前の調査から5%も下がっていると指摘、「こんなに経済援助をしているのに」と腹立たしげだ。

記事はアフリカに中国文化が広まっていない理由は「アフリカ人留学生にある」と留学生を非難。

中国は毎年多額の奨学金を投じてアフリカ人を留学生として呼び込んでいるが、奨学金や学力試験の免除などで優遇しすぎて、「中国語もできない留学生が中国に旅行気分で入ってきている」と強く批判している。

本来の目的は、優秀なアフリカ人に中国の教育を受けさせ、中国に感謝しつつ母国で中国のすばらしさを説く広報役にするはずだったそうだ。だが、その目的が達せられていないと嘆いている。

記事の中国人筆者の怒りと失意は世界の感覚とは乖離しているはずだが、中国では正常な反応なのかもしれない。中国国内ではアフリカへのインフラ投資が繰り返し報じられているので、「援助しているのだから中国を感謝し敬うべきだ」と考えるのだろう。

しかし、アフリカ人が好意を抱いていたのは中国の文化や言語ではなく、中国による投資だったということに、今さらながら気づいたということかもしれない。アフリカ人の心をつかみたいなら、まずは上から目線のこの態度を改めるべきではないだろうか。


2020-10-16 08:12
http://news.searchina.net/id/1693519