【ロンドン時事】世界貿易機関(WTO)の空席となっている事務局長をめぐり、多数の支持を確保したナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相の選出を米国が阻止した。

 ロイター通信などが28日報じた。WTOの決定は全会一致が原則のため、米国が反対し続けた場合にはトップ不在が長期化する可能性がある。

 WTOは11月9日に会議を開き、人事に関して議論する予定。同3日の米大統領選の投票結果が人事を大きく左右することになりそうだ。

 トランプ政権はこれまでWTOの脱退をちらつかせてきたほか、貿易紛争処理の上訴機関となる上級委員会の委員選任を拒否して機能不全に追い込んだ経緯がある。オコンジョイウェアラ氏が自由貿易を強力に推進する姿勢を示していることに、保護主義色の強い貿易政策を進めるトランプ米政権は難色を示したもようだ。

 中国との経済的な結び付きが強いナイジェリア出身であることも、対中強硬姿勢を強めるトランプ政権が反対に回った一因との見方もある。 

https://news.yahoo.co.jp/articles/9dc834a1b9e141c24bbf60aded04b7099755228a