文在寅(ムン・ジェイン)大統領が米大統領選挙で勝利したバイデン大統領当選者に送ったメッセージで、「我々の同盟は強力で、韓米両国間の連帯は非常に強固だ」「両国関係の将来の発展に対する期待は非常に大きい」と述べた。

新しい米大統領の登場に合わせて韓米同盟を発展させるべきだという点に、異論があるはずはない。

しかし、今の両国関係は文大統領の言葉のように強力でも強固でもない。むしろ、自由民主主義のために共に戦って結ばれた同盟だと言うには心苦しいほどになってしまった、というのが現状に近い。

この数年間、トランプ大統領の「米国優先主義」と文在寅政権の「北朝鮮に対する執着」が重なり、韓米同盟は不協和音が絶えなかった。

先日行われた安保協議会で、両国は同盟の根幹である戦時作戦統制権や北朝鮮の核廃棄共助問題において対立し、その結果、共同声明から「在韓米軍の現在の水準を維持する」という文言が外された。

北朝鮮が韓半島(朝鮮半島)を焦土化させることができる新型ミサイルを披露したのに、「平和ショー」に押されて韓米連合訓練もろくにできていない。

米国はとんでもない額の防衛費要求で韓国に圧力を加え、韓国は、米国が自由民主主義の価値を共有するアジア・太平洋同盟国との連帯を強化しようとする協議体について「良い考えではない」と切り捨てた。

駐米韓国大使は「韓国が70年前に米国を選択したからといって、今後も米国を選択するわけではない」と、率先して同盟関係を揺るがしている。

表面に現れた亀裂がこれほどなのだから、水面下ではさらに深刻な事態も起こっていることだろう。

バイデン時代における韓国外交の最優先課題は、このように損なわれた信頼関係を回復し、韓米同盟を再び正常軌道に乗せることであるはずだ。

バイデン氏はトランプ氏とは違って同盟を尊重し、自由経済体制を重視する人物だ。バイデン氏は当選確定演説で、「米国が再び世界から尊敬されるようにする」と言った。

しかし、バイデン氏が米国を伝統路線に戻しても、韓米関係が自動的に回復するわけではない。

文在寅政権がトランプ式サプライズ・ショーに対する未練を捨てられないなら、実務陣の意見を重視し、システムで動くバイデン政権とも軋(きし)み音を出し続けることになる。

バイデン氏は就任1年目の「全世界の民主主義首脳会談招集」を公言しているだけに、米国から「中国けん制ネットワーク」参加要求も続くだろう。

韓米同盟を「冷戦同盟」と見下して、米中をはかりにかける運動圏(市民運動・学生運動)的な思考から抜け出し、原則と価値の基盤の上で戦略を立てなければならない。

韓米日三角協力復元もバイデン時代の緊急課題だ。バイデン氏は副大統領だったころから韓日間の「仲介者」を自任していたほど、韓日関係の改善に力を注いできた。

韓日協力は単に2国間の問題ではなく、米国のインド・太平洋戦略の基本軸だという認識は、民主党も共和党も変わらない。韓米日の亀裂で得をするのは北朝鮮と中国だけだ。


2020/11/09 10:01
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