>>1の続き。

ここから分かるのは、まず文在寅大統領は「朝鮮半島の」非核化を強調したが、バイデン次期大統領は「北朝鮮の」核問題の解決を強調したということだ。つまり、北朝鮮核問題について両首脳の見解の差がはっきりうかがわれる。

どういうことか。

文在寅政権は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の意見に従い、今までずっと「北朝鮮」ではなく、「朝鮮半島」の非核化という用語を使用してきた。言い換えれば、北朝鮮の核だけでなく、「韓国内にも米国の戦術核や戦略核などは持ち込まない」という意味だ。朝鮮半島の非核化は、文在寅政権が構想する終戦宣言や平和条約締結を通じた「朝鮮半島における平和プロセス」とも自然に結ばれる。文在寅大統領は電話会談でこのような韓国政府の意見を再度強調したのだ。

一方、バイデン次期大統領は、文大統領の発言に対し「北朝鮮の核問題解決に協力する」と答え、文在寅政権の平和プロセスに対する言及はしなかったのだ。

またバイデン次期大統領が強調した「インド太平洋地域」という表現についても注目すべきだろう。バイデン次期大統領は、この日の短い通話で、「インド太平洋地域」を2度も強調した。これについて、多くの韓国メディアは、「米国が推進しているインド太平洋地域での対中国包囲網に韓国の参加を求めたもの」と解釈してみせた。

韓国最大野党の「国民の力」も口頭論評を通じて同じ指摘をした。

「今日、バイデン次期大統領の対話の中で、肝に銘じなければならないキーワードがある。『インド太平洋地域の安保・繁栄におけるリンチピン(核心軸)』という表現だ。韓米同盟が堅固になるためには、血盟という縁を大切にしながら、左見右見してはいけないというメッセージだ」

しかし、大統領府はこうした解釈を否定した。

「『インド太平洋』とは該当地域を地理的に表現したもので、『インド太平洋戦略』とは無関係だ」、「バイデン次期大統領は中国に関する発言は全くしておらず、そうしたニュアンスの言及もなかった」と一蹴したのだ。つまりは、これからも米国と中国との間で「二股戦略」を維持するという意味だろう。

■今後も韓国は「扱いにくい国」か
 
あいにく、文在寅−バイデン間の電話会談があった日、韓国では習近平中国主席の年内訪韓の可能性が再び浮上した。複数の韓国メディアは、「韓国と中国の外交当局は12月中旬をめどに習近平主席の訪韓を協議中」と伝えている。

中国内では最近、韓国が習主席の訪韓論議に消極的だという不満が出ている。そのため張夏成(チャン・ハソン)駐中韓国大使は米大統領選の直後、呉江浩中国外交部アジア地域担当部長助理と会い、「中国との高位級交流を強化することを望む」と伝えたというニュースも報じられている。

バイデン氏は大統領当選が決まった直後、「米国が競技場に戻ってきた」と、同盟強化への第一声をあげた。中国に対する牽制も、伝統的な同盟国との国際連帯を活用する意思を明らかにしている。

米日韓の三角同盟を拒否し、北朝鮮や中国側に傾いている文在寅政権は、バイデン時代の米国にとって扱いにくい存在になるはずだ。

>>おわり。