つまり性善ゆえに悪の方向へと日本が陥らないように、大統領や政権・与党の関係者は、韓国から見た正義や正統の基準に従って(韓国にとって好ましい方向へと)教導・誘導して、日本を徳化・教化しなければならないと確信しているのだ。そしてその成否が大統領や政権・与党の「徳」「天命・天意=民意」を左右するとの無意識的な感覚や信念が、対日姿勢を左右しているのだ。

 この事はかつて、故ノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領が小泉政権に対して初期には好意的な態度を示し、特に対北政策等を評価して好意的な対応を示したのを想起した。つまり盧政権の対日教導・徳化・教化が同じ進歩系がやってきた「太陽政策」を始めとした対北政策への同調を生み、「徳」「天命・天意=民意」に適った東アジアの秩序形成に貢献出来たと看做したのだ。

 ところが後に小泉政権による靖国神社参拝や対米追従的な対北政策等を見て、対日教導・徳化・教化の失敗と映った結果、これを挽回すべく、外交上の表現に馴染まない(明確な上下関係を前提とした)道徳的・倫理的な表現での非難を用いる程、一気に(小泉政権批判と新政権への期待へと)方向転換していた事だ。

 こうした韓国の「正義や正統」の基準を「教化・徳化」の姿勢を隠さず日本に強要していく「礼部・礼曹」型外交の根は深く、無意識に韓国の外交姿勢や選択を左右しているのだ。韓国を呪縛している「礼部・礼曹」型の外交観、韓国の解放はまだ遠いかもしれない。

(終わり)