韓国の与党・民主党は10日、国会で「セウォル号惨事真相究明のための特別検察官要請案」を一方的に通過させた。常任委員会でも一度も討論をしなかったという。

これまで7つの国家機関が8回にわたって調査・監査・捜査しても足りないから、再び特別検察官まで任命して9回目の調査をしたいというのだ。

その前日に民主党は、事実上セウォル号調査委員会といえる社会的惨事特別調査委(社惨委)の活動期間も1年6カ月延長した。今や何を調査するのかも理解できない有様だ。

セウォル号惨事の真相究明のために政権を変え、国の機関を総動員して調査を繰り広げた。

検察の捜査と国会の国政調査、監査院の監査、海洋安全審判院の調査、特別調査委員会の調査、船体調査委員会の調査、社惨委の活動を通じて明白な事故原因を明らかにし、責任者を繰り返し処罰した。

検察の捜査だけでも400人が立件され、150人以上が身柄拘束・起訴された。裁判の過程で船体の違法な増築やバラスト水不足、不十分な貨物の固定、操船の未熟さ、監督不行き届きなど、惨事を引き起こした決定的な原因が残らずあらわになった。

「潜水艦衝突説」のようなでたらめなデマまで調査した。これ以上、何を明らかにするというのか。

特検はセウォル号船内の監視カメラのデータに手が加えられたかどうかなどを捜査するというが、これもまた大検察庁(最高検に相当)に昨年発足した特別捜査団が全て調べた内容だ。

民主党は「検察の捜査は不十分なので特検をやるべき」と言うが、言いがかりにすぎない。これ以上出てくるものはない、というのは民主党もよく知っているだろう。

セウォル号を果てしなく利用することでつぎ込まれる税金も、一文二文ではない。野党の集計によると、社惨委など真相調査委員会に今年までに650億ウォン(現在のレートで約61億9800万円、以下同じ)の予算が投入された。

社惨委が加湿器殺菌剤事件も対象に含めていることを考慮しても、セウォル号の調査活動だけで数百億ウォン(100億ウォン=約9億5300万円)を使っているのだ。既存の政府機関の機会費用も相当なものだ。

テロ攻撃で3000人以上が亡くなった米国9・11惨事調査委員会が使った金額は1500万ドル(約15億6000万円)だった。それでもまた税金を使って特検をやりたいというのを、誰が納得するのか。

民主党は、セウォル号関連の犯罪の公訴時効も2022年6月まで停止させた。来年の補欠選挙と再来年の大統領選挙までセウォル号を引き留め続け、扇動したいのだ。

この底意が透けて見えるから、惨事を哀悼する多くの韓国国民が「どうかセウォル号の搾り取りはそこまでにして」と言っているのだ。


2020/12/12 11:15
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