>>1の続き。

韓水原の報告書によると、月城原発3号機近くに設置された地下水観測艇(SP-5)をはじめ一部の観測艇では2013年にも最近と似たようなレベルでトリチウムが検出された。

当時、韓水原中央研究院の研究チームは、国外の原発の非計画的な放出による地下水汚染事例を調査し、対応の必要性を提起した。2017年前半からは、地下水汚染の危険性が高い構造物近くの一部の観測艇で濃度が著しく高くなった。

2号機近くの観測艇(WS-2)では、一時2万8200ベクレルまで上がった。しかし韓水原は、昨年5月になってようやく「トリチウム懸案特別チーム」を立ち上げ、本格的な対応に乗り出した。原安委もまだ非計画的放出に対する報告と管理基準を設けておらず、対応が遅いという指摘は避けられない。

これと関連し、韓水原は報告書の存在は認めながらも「現在まで非計画的な流出は確認されていない」という公式な立場を維持している。また「重水炉の特性上、原発敷地内のトリチウムの濃度は周辺地域に比べて相対的に高いが、現在まで流出は確認されていない」と明らかにした。

韓水原はトリチウムによる地下水汚染の遮断対策として、地下配管を交換し、使用済み核燃料貯蔵槽、冷却水から放射性物質を吸着して除去する樹脂を集めた廃樹脂貯蔵タンク(SRT)、液体廃棄物タンク(LWT)などを点検して補修する対策を推進してきた。

このような対策は、これらの施設物をトリチウムの地下水流出源とみなすということだ。これらの施設は地下に設置されたプールのような形で、厚さ1メートルを超えるコンクリート水槽の内側に防水処理を施した構造だ。金属材で設置されたほかの原発施設よりも老朽化による損傷に弱い。

韓水原の報告書を検討した専門家らは、トリチウムが施設物の損傷部分へと漏れるだけでなく、施設物に浸透して染み出る可能性にも注目しなければならないと話す。トリチウムはセシウムやテクニシウムなどのようなガンマ核種と違い、大きさが特に小さく、厚い鉄板からも鉄の原子の隙間に入り込んで通貨するためだ。

実際、重水素とトリチウムを燃料に利用する核融合研究では、このような過程を通じた反応で金属の汚染を防ぐことが主要課題の一つとなっている。

ある原発専門家は匿名を前提に「もし亀裂を通じて漏れているなら、大きいガンマ核種も検出されるはずだ」とし「すべての使用済み核燃料貯蔵槽の下部の地下水と20個以上の観測艇でトリチウムだけが検出されている事実からみれば、浸透による流出を疑わざるを得ない」と述べた。

このような指摘どおり、トリチウムが浸透を通じて染み出ているなら、問題の解決は容易ではない。

また別の原発専門家は「長い間トリチウムで飽和された老朽した原発の構造物をそのまま置いてトリチウム放出を根本的に防ぐことは不可能。貯蔵槽の地下を掘って解体するレベルの調査を通じて、問題が確認されれば貯蔵槽内部の防水用エポキシ塗膜をステンレス鉄板に取り替えなければならない」と話した。

費用も問題だが、原発を運営している状態では簡単には適用できない対策だ。

トリチウムは韓水原が調査を始めた2013年以降、1・2号機の原発敷地北西境界地域に設置した地下水観測艇5カ所すべてから、米国原子力規制委員会(NRC)の制限値(740ベクレル/リットル)を超え、1リットル当たり最大1320ベクレルまで検出された。

1号機の使用済み核燃料貯蔵槽から北に450メートルほど離れた敷地境界観測艇(SP-11)でも、最高924ベクレルまで検出された。慶北大学放射線科学研究所が昨年、環境放射能調査過程で原発近くの慶州市陽北面(ヤンブクミョン)ボンギル里で測定した地下水のうち最高濃度8.81ベクレルの100倍を超える高濃度だ。

原発境界地域の観測艇の高濃度トリチウム検出の結果を知った地域の脱原発運動団体は、地下水の移動性を考慮すると敷地の境界外にもトリチウム汚染が拡散したことは明らかだとし、対策を要求している。

イ・サンホン脱原発慶州市民共同行動執行委員長は「原発の外に拡散したかどうかは、トリチウムが検出された境界地域の外部に地下水観測艇を設置して調査すれば簡単に確認できるのに、韓水原と原安委がこのようなた努力もせず環境(外部)には放出されていないと断定するのは納得できない」とし「速やかに環境放出の有無を確認し、汚染防除などの措置を取らなければならない」と話した。

>>おわり。