2021.01.21

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事故が起きたJR新大久保駅のホームへの階段に設置された顕彰碑=朝日新聞社撮影


2001年にJR新大久保駅(新宿区)で線路に落ちた男性を助けようとした韓国人留学生の李秀賢(イスヒョン)さん(当時26)らが亡くなった事故から26日で20年になる。日韓関係はこの間、悪化の一途をたどっている。どうすれば改善の道が開けるのか。2016年7月から17年10月まで駐日韓国大使を務めた李俊揆氏に聞いた。(朝日新聞編集委員・牧野愛博)





――事故から20年が経ちました。
恥ずかしい気持ちになるばかりだ。李秀賢さんの殺身成仁(身を捨てて仁をなす行為)によって生まれた両国民間のお互いを思いやる心を育てられず、現在のような最悪の韓日関係を作り上げてしまった。本当に李さんに合わせる顔がない。

――なぜ悪化してしまったのでしょうか。
最も重い責任は、両国関係発展のための意思と能力が不足していた両政府と政治指導者にある。韓日両国は不幸な過去を背負っているため、常に肯定的な出来事と一緒に否定的な問題も生み出してしまう。両国関係の発展のためには、否定的な面を極小化し、肯定的な面を極大化することが当然の仕事なのだが、現実に起きたことはいつも正反対のことばかりだった。


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JR新大久保駅の事故現場を訪れた李秀賢さんの父盛大さん(右端)と母辛閠賛さん=2001年1月29日、朝日新聞社撮影


――日本には「何度謝っても、韓国は約束を破る」という声もあります。
日本の立場では、そう考えるのかもしれない。ただ、「日本の謝罪には真心がこもっていない」という韓国の主張にも一理があることを理解して欲しい。日本側がせっかく謝罪しても、すぐに政府高官が正反対の言動に出る場合が多いからだ。この悪循環を断ち切らなければいけない。
日本が真心のこもった謝罪をし、韓国も大抵の日本側の言動には大騒ぎしない、心の広い決断が必要だと思う。

――中国が地域内で影響力を拡大していることが、韓国の行動に変化を与えているのでしょうか。
韓国の対日関係において、中国が与える影響力は大きくない。韓国は、日本と中国のどちらを選ぶかという選択には迫られていない。韓中日3カ国協力において韓国が最も積極的だという事実にも意味がある。
日本の方たちは「なぜ、韓国は同じ価値観を持つ日本を脇に置いて、中国と接近するのか」という疑問を持つのだろうが、これは価値観とは関係がない。韓国は日本とも中国とも、良い関係を維持していけると考えている。


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李俊揆元駐日大使=朝日新聞社撮影


――韓国が主要20カ国・地域(G20)になったことと、日韓関係の悪化は関係がありますか。
韓国の国際的な地位が上がったことで、国家的なプライドも高まったのは事実だ。だが、日本の方たちが持つ疑念のように「韓国の地位が上がったことで強く出てきている」ということではない。韓日関係は、そのような論理では説明がつかないほど特殊な関係だということだ。

     ===== 後略 =====
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