「月給を除き住宅価格も株式もみんな上がりました。労働価値が落ちるようなもので、会社の仕事より株式投資に集中することになりました」。

20代の会社員キム・ミンさん(29)の話だ。彼は昨年マイナス通帳を作り貯めた資金まで合わせ8000万ウォンを株式に投資し、1年ほどで30%の2400万ウォンの収益を手にした。

彼は「投資で稼いでいるので以前ほど業務に没頭するのは難しい。最近は株式だけでなく米国国債をはじめ、金や穀物など原材料市場に関心を持って勉強している」と話した。

月給より株式や不動産のような資産所得に目を向ける20〜30代が増加している。資産価格は急騰するのに預金や積立金などで月給だけ貯めていては資産を形成できないという認識が広がっているためだ。

根拠のない考えではない。国民銀行によると昨年11月基準で所得に対する住宅価格の比率(PIR)はソウルで15.6年となった、ソウルに住む中位所得(所得順で中間世帯の所得)の世帯が15年以上月給を1ウォンも使わずに貯めれば住宅を買えるという意味だ。

これに対し勤労所得の伸びは鈍い。さらに新型コロナウイルスの余波で減ったりもしている。

統計庁によると、昨年7−9月期基準で全国の2人以上世帯の月平均勤労所得は347万7000ウォンで、1年前の351万5000ウォンより1.1%減少した。世代別所得増加率を見ると20〜30代の悩みを理解できる。

西江(ソガン)大学社会学科のイ・チョルスン教授が著した『不平等の世代』によると、1960年代後半生まれの世代の所得は90年代初めに比べ2000年代後半まで53%上昇した。70年代後半に生まれた人たちの所得は2000年代初めに比べ2010年代後半まで26%増えた。

だが80年代後半生まれの場合、2010年代初めから後半に達する間に所得は7.6%増えるのにとどまった。

勤労所得の上昇はわずかで、住宅価格は天井知らずの勢いで高騰し、若い層が目を向けるのが株式市場だ。実際に昨年キウム証券で20〜30代が新たに開設した証券口座は117万件で、前年の25万件より5倍近く増加した。

会社員のソン・クァンジュさん(28)は月給の70〜80%を証券口座に入れる。ソンさんは「一生の職場というものはなく、月給も上がらず常に不安だ。まずは月給以外に株式で毎月50万ウォンずつ毎月の家賃を払えるほど稼ぐことが目標になった」と話した。

外資系企業に通うヤンさん(30)は役員への出世を諦めている。彼は「資金を借りて家を買った友人らと資産格差が広がり、気持ちが焦り昇進などを考える余力がない」と吐露した。

彼が早く稼げる方法として見つけたのが株式投資だ。昨年から株式とファンドで2000万ウォンを運用する。ここに毎月の月給の40%を投じて株式を追加で買っている。


中央日報日本語版 2021.02.01 08:53
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