(東京中央社)東日本大震災から10年となるのに合わせ、福島県会津の中学生に、台湾の美術館グッズなどが詰まった「福袋」を届けるプロジェクトが着々と進行している。会津が選ばれた背景には、日本統治時代に活躍した会津出身の文化人、西川満(1908〜1999)の存在があったという。

幼少期に家族と共に台湾に渡り、台湾風物研究誌「台湾風土記」や詩集「華麗島頌歌」などを通じて台湾の風物や文化を伝えた西川。戦後日本に引き揚げた後も、台湾を題材とした美しい装丁の「美麗本」を作り続けた。

同プロジェクトの取りまとめ役を務める翻訳家の池田リリィ茜藍さんによると、福島県立博物館などは2018年、西川を紹介するテーマ展を国立台湾文学館(台南市)と共催しているが、開催期間が短かかったためか、「地元の子どもたちは見に行けていない」。プロジェクトには、震災10年に向けた思いのほか、台湾の人々がずっと記憶している「西川満」という名前を子どもらに伝え、会津からこのような優れた人物が出ていることを知ってほしいという願いも込められているという。

福袋は、国立故宮博物院(台北市、嘉義県)や国立台湾文学館、台北市立美術館(台北市)など計20団体が無償で提供した文房具や小物などを、カラフルな網目模様のナイロンバッグに詰めたもので、会津の豪雪地帯に位置する5校の全校生徒約300人に届けられる。10日には西会津中、11日には三島中で贈呈式が行われた。

福袋は未来につなぐ「種まき」と話す池田さん。受け取った生徒らがグッズを通して台湾の美術館や博物館などに興味を持ち、ひいては台湾の文化芸術への認識を深めることに期待を寄せている。

(楊明珠/編集:塚越西穂)

中央社フォーカス台湾 2021/03/12 19:02
https://japan.cna.com.tw/news/asoc/202103120007.aspx

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会津の中学生に台湾からの「福袋」を届ける池田リリィ茜藍さん(前列中央)=本人提供