哲学の誤読 ―入試現代文で哲学する! (ちくま新書)

>本書のユニークさは、やはり「入試問題を素材に使った哲学入門書」というところだろう。まず大学受験をする予定の高校生にとっては、「入試問題」という神話を解体してくれる。というのも、入不二は問題作成者や赤本や予備校などの模範解答作成者、そしてさらには問題文の著者の「誤読」を指摘することを本書の裏テーマとしているからだ。模範解答はまだしも、まさか問題作成者や問題文の著者が文章を誤読するなんて! ある意味では、問題作成者や著者という「絶対的な神様」から、非常に弱い立場に立たされている受験生を開放してくれる本であるともいえる(ただ、その結果受験生がやたらと反抗的になってしまったらそれはそれで困るが……)。