【ソウル=豊浦潤一】

ソウル、釜山両市長選で韓国の文在寅政権の与党が敗北すれば、文政権のレームダック(死に体)化が進み、外交の推進力も低下するとの見方が強まっている。

対日関係をめぐって文大統領は、最大の懸案である元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟や元慰安婦訴訟問題の外交による解決を目指す姿勢を見せている。

しかし、元徴用工訴訟では、被告の日本企業の賠償にこだわる一部の原告を説得できていない。文氏の支持者は、原告らと同じく反日色が強い。文氏の求心力が弱まることで「支持者の意向に反する決断は一層困難になる」(韓国の日韓外交専門家)とみられる。

文氏は一方で、政権浮揚と大統領選勝利に向けた起死回生策として、来年2月の北京冬季五輪開会式に合わせた南北首脳会談を模索する可能性がある。習近平政権が北朝鮮との仲介に動いた場合、文氏が対中傾斜を強める展開も予想される。


2021/04/08 06:56
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