新型コロナが世界で猛威をふるい始めて既に1年以上が経過した。各国でさまざまな対策が施されるなど生活への影響も続く。米国やイスラエルといった一部の国ではワクチン接種が進み、コロナ禍から脱却する兆しも出ているが、変異株の脅威が危惧されており、新型コロナとの戦いは終わりが見えない。

 韓国においても、文在寅政権が自画自賛のように称賛していたコロナ対策「K防疫」も限界を迎えつつあるようだ。

 韓国で新型コロナの感染拡大が本格化したのは2020年2月のこと。第1波と言うべき感染拡大が始まった当初は、感染者の動向の公開やオンライン教育の整備、マスク着用の義務化など政権の素早い対応は評価されていた。だが、この1年を振り返れば感染者を減少させ抑え込んだとは言い難く、いまだに数カ月周期で感染者の増減を繰り返している。その状況に国民の不満も募る一方だ。

 また、鳴り物入りで生産され、政府が「K注射器」と銘打って広報していた注射器にも問題が相次いでいる。「K注射器」は通常の注射器と比べてコロナワクチンの接種回数を増やすことが可能で、海外からも注目されていた。注射器が発表された当初には、「これでワクチン接種も順調に進む」「ぜひ韓国のこの技術を海外に広めてほしい」といった期待の声も上がった。

 ところが、その注射器に何ともお粗末な問題が発生している。注射器内の異物混入や目盛りが不正確という不具合が明るみに出るなど、70万本を回収することになったのだ。しかも、問題が発覚したのが2月末にもかかわらず、事実をすぐに公表しなかったことに非難の声が上がった。

 その後、文在寅大統領自身がワクチン接種を行った際に使用した注射器が米国製のものだと報じられたり、実際に打ったワクチンが本物かどうかという「ワクチンすり替え疑惑」が飛び出したりと、文在寅政権は末期的な様相を呈している。世論のあまりの過熱ぶりに、大統領府が「虚偽のニュースを流した者は厳罰に処す」と声明を発表したほどだ。

 文在寅大統領としては、新しい注射器の開発や自らのワクチン接種は韓国のコロナ対策が順調だということを内外にアピールする絶好のチャンスと見ていたようだが、結果的にはすべてが裏目に出ている。今や「K防疫」とは誇れるものではなく、国民からも失笑が漏れるオワコン状態である。

■ ワクチン外交に空回りの文在寅政権

 国内のワクチン接種についても課題山積だ。アストラゼネカ製のワクチンによる血栓発症の問題を受け、欧州諸国にも接種中止を決める国が出始めている。韓国でも同社製ワクチンによる副反応が報告されており、アストラゼネカ製ワクチンそのものを中止にするのか、同社製ワクチンの接種を年代によって分けるかなど、今後の方針が二転三転している。

 保健福祉部の発表では、4月24日現在で1回目のワクチン接種を終えたのは人口の4%で、欧米諸国と比較しても低い水準にとどまっている。高齢者やワクチン接種が優先される職業に従事する人を除く一般人の接種は秋頃と言われていたが、この調子では秋に受けられるのかどうかも不透明だ。

 韓国では携帯メールやアプリを通じて無料PCR検査の案内や防疫に関する情報などが頻繁に送られてくるが、ワクチン接種に関する情報はほとんどない。それゆえに、年内のワクチン接種や集団免疫の獲得が可能なのかと違和感を持ってしまう。

 そんな政府の焦りを表すかのように、文在寅政権が「ワクチン外交」に躍起になっている様子が伝わってくる。先週、文在寅大統領がロシア製ワクチン「スプートニクV」の導入を前向きに検討したいと表明、ワクチンの調査を指示したと報じられた。だが、4月24日には保健福祉部の長官はラジオ番組で、「ワクチンは十分に確保している」と強調、「ロシア製ワクチンの検討は積極的にしない」と発言した。

 また、何かにつけて日本への対抗心を燃やそうとする韓国を象徴する話だが、先日、菅首相がファイザーの最高経営責任者(CEO)とワクチンについて協議したというニュースが伝えられると、韓国側は米国の製薬会社ノババックスのCEOと大統領府で会談し、ワクチン確保に向けて精力的に交渉していることを強調した。

 5月末に文在寅大統領とバイデン大統領の会談を控えていることから、ワクチン確保に弾みをつけ、日本との差を見せつけたいという思惑があるようだ。ただ、「ワクチンは自国を優先して供給する」とバイデン大統領が発言していることもあり、交渉の成果が得られるかは未知数である。

全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/3cbe5ae3d459f241f55e18b84f4d3d0946368ef8
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