【北京時事】バイデン米政権と欧州各国が関係修復に動く中、中国と欧州の関係が悪化している。

 欧州連合(EU)との投資協定の批准が暗礁に乗り上げ、中東欧など17カ国との協力枠組み「17+1」もリトアニアの脱退表明で亀裂が入った。中国は長期的な対米対立を見据えて欧州との関係を重視しており、関係悪化に歯止めをかけようと外交活動を活発化させている。

 中国外務省によると、外交統括役の楊潔※(※竹カンムリに褫のつくり)共産党政治局員は26〜27日、EUと「17+1」の両方に参加するスロベニアとクロアチアを訪問し、両国の大統領と会談。楊氏はスロベニアのパホル大統領に「中国と欧州は正しい軌道に沿って関係を前進させるべきだ」と訴えた。

 王毅国務委員兼外相は29日、貴州省貴陽市でEUと「17+1」のメンバー国ポーランドのラウ外相と会談し、「中国と欧州は協力推進の障害を取り除く必要がある」と主張。ラウ氏は投資協定について「中国とEU双方に資する最高の選択だ」と応じた。王氏は欧州での足場を立て直したい考えとみられ、29〜31日の日程でポーランドのほかアイルランド、ハンガリー、セルビアの各外相を中国に招いた。

 中国とEUの関係は現在、「強烈な逆風に直面している」(中国英字紙チャイナ・デーリー)状態だ。EUは3月、新疆ウイグル自治区での人権弾圧を理由に中国当局者4人などに制裁を科し、中国も5人の欧州議会議員などに報復制裁を発動。欧州議会は今月20日、昨年末に基本合意した投資協定について、承認手続きを凍結する決議を圧倒的賛成多数で採択した。王外相は25日、オンラインのミュンヘン安全保障会議で演説し、「異なる性質の問題を結び付けて経済・貿易を政治問題化した。容認できない」と批判した。

 EU加盟国のリトアニアも、新疆で「ジェノサイド(集団虐殺)」が起きていると認定する決議を議会が可決し、ランズベルギス外相が「17+1」から離脱する意向を表明。中国政府は「個別の事案に影響されない」(外務省報道官)と静観する構えだが、中国の有識者の中には「ラトビアやエストニアなども離脱する可能性がある」と予想する声もある。 

Yahoo!Japanニュース/時事通信社 5/30(日) 7:06配信
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