0001ろこもこ ★
2021/07/09(金) 12:36:55.70ID:CAP_USER7月3日は日本列島を梅雨前線が停滞していた。静岡県熱海市伊豆山。地元の熱海市消防本部に119番通報があったのは午前10時ごろだった。熱海市消防団詰め所になっている自宅ビルの3階にいた建築業の男性(32)は「ゴーッ」という地鳴りを耳にした。
当初は自動車のスリップ音かと思ったが、それにしては大きすぎる。何だろう、と自宅窓から外を見た瞬間、男性は目を疑った。向かいの山の土砂が崩落し、こちらに向かって流れている。
「大変だ」
男性は仲間の消防団員にSNSで知らせ、自らも合羽に着替える準備をした。
伊豆山地区の住民たちの避難が始まった。ところがそこに3日午前10時半ごろ。今度は1回目を遥かにしのぐ規模の土石流が轟音を立てて山肌を滑り落ちてきた。
災害発生から4日が経った7日現在でも死者7人、安否不明者は20人を超す未曾有の大惨事となった。
伊豆山地区は、伊豆の蛭ケ小島に配流されていた若き日の源頼朝と後に妻となる北条政子が逢瀬を重ねた伝説がある伊豆山神社があるほか、「走り湯」など豊かな温泉が湧く地としても知られ、2020年には185万人もの観光客が訪れる東京の奥座敷・一大観光スポットだ。別荘地としても人気が高い。
これまでに分かっている情報によると、伊豆山地区を流れる逢初川に沿って10万立方メートルに及ぶ土砂が濁流となって、下流域に住む人々を襲った。その距離は2キロ、幅は最大で160メートルにも及んだのだという(国土地理院の発表による)。山の名前は岩戸山という。
この標高734メートルの岩戸山中腹にあった「残土」に堆積してあった土砂が10万立方メートルの流出土砂の半分の約5万立方メートルを占めていると静岡県は考えているようだ。
7月4日、土石流の被害にあった伊豆山地区で救命救助活動を行う警察の部隊(Photo by CHARLY TRIBALLEAU/AFP via Getty Images)
住民「こんなところに太陽光発電所を造るなんて」
静岡県は富士山の扇状地に当たる富士宮市や熱海市のように、山あいの地と海とのわずかな土地に人々が集住する地区が非常に多く、しかも土質は火山灰土だ。
熱海市の隣町、函南町で1934(昭和9)年、難工事の末、開通した丹那トンネルの工事では、死者67人も出した。湧水が原因だった。要するに水はけが良すぎるのだ。
「こんなところに太陽光発電所を造るなんて…」という地元住民の声があったのは事実だ。
報道されている通り、崩落現場のわずか数十メートル西側に中規模の太陽光発電所があった。この発電所が買電権(ID)を取得したのは、2013年10月3日のことだ。静岡県熱海市伊豆山(番地未確定)として11区画に分けて1区画40・0キロワットで申請している。名義は太陽光発電事業者の「ZENホールディングス」(東京都千代田区)だ。
いっぽう、残土は新幹線ビルディング(神奈川県小田原市)という不動産会社が宅地開発の名目で、置いたものだという。ところが産業廃棄物がかなり混ざっており、熱海市から行政指導を受けたが、同社はこれを放置。2011年2月、一帯の約120ヘクタールをZEN社のオーナー、麦島善広氏の名義で売買している。
新幹線ビルディングの天野二三男社長は「自分の責任ではない」(代理人を断った弁護士談)と話し、麦島氏サイドも「(購入時点で)残土の存在は知らなかった」と責任を否定している状態だ。
この太陽光発電所が注目された。災害の翌日に岩戸山に入り、ドローンで撮影した地質学者の塩坂邦雄氏によれば、太陽光発電などの工事によって土地は保水力を失った。さらに、発電所の導入路となっている道が樋のような役目をして、雨水は残土に流れ込んだ。このことによって残土が大量に滑り落ちた可能性を、静岡新聞など複数のメディアの取材に対して述べている。
太陽光発電所をよく見ると、草が全く生えていない。シートを覆っているか、固めているように見える。シートの場合は、これは雑草が生えてくるのを防ぐ「防草シート」と言われるもので、たまに太陽光発電事業者でも重宝する業者がいる。
2017年に山梨県北杜市の太陽光発電所を取材した際にこのシートを使用していた業者がおり、メーカーに聞いたところ、「草が生えてくるのを防ぐためのものであって、水を浸透させる効果はありません」と明言した。まして、コンクリートで固めてなどいたら、問題外だ。
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