韓国首都圏に厳戒な「距離確保」第4段階が敷かれている。封鎖(ロック ダウン)を除いて最も厳しい統制だ。それでも昨日は一日感染者が1615人で史上最大を記録した。デルタ株に対する安易な判断が生んだ災難だ。唯一の対策はワクチンだ。だが「十分なワクチンが確保されている」という政府の大言壮語は嘘になってしまった。一日100万人以上のワクチンを接種するインフラを備えていても一日10万人も接種できないでいる。ワクチンが底をついたのだ。最悪のコロナ第4波の中で、今後も半月以上、ぞっとするような「ワクチン日照り」が待っている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「短く太く」を約束したが、疾病管理庁が描くシナリオははるかに陰鬱だ。「7月末に1400人、8月中旬には感染者が2331人まで増える可能性がある」と警告した。だが、この最悪のシナリオすら、その2日後に崩れた。韓国政府の表情には、デルタ株の驚くべき拡大に一歩間違えれば統制不能状態に陥らないだろうかと当惑する色がにじむ。危険な夏「細くて長い」苦難の行軍が始まっている。

先月24日は重要な時期だった。首相が本部長である中央対策本部〔中央災難(災害)安全対策本部〕と鄭銀敬(チョン・ウンギョン)疾病管理庁長が本部長の中央防疫対策本部は互いに交錯した立場を出した。

「国内のコロナ統制状態は安定的だ。デルタ株の比率も10%に至らず懸念する水準ではない。自営業・小商工人の被害が累積している」。中央対策本部は距離確保の緩和を継続して延期する必要はないと強調した。反面、鄭庁長は「デルタ株の拡大が懸念される。1回のワクチン接種だけでは安心できない。首都圏は防疫措置をもう少し強化する必要がある」と警告した。距離確保の緩和は時期尚早であり、まだ引き締める手を緩めてはいけないというシグナルを送った。

どちらが正しかったか分かるまでに1週間もかからなかった。感染者が突然790人を上回り始めたのだ。中央防疫対策本部の科学的な予測が現実として現れた。コロナ第4波を警告した金宇柱(キム・ウジュ)・チョン・ウンミ教授など民間専門家たちの警告も正しかった。これに対して、中央対策本部の予測は完全に外れた。なぜか。その直前の文大統領のK防疫「自画自賛」がその一因になったという指摘が少なくない。

欧州歴訪から帰ってきた大統領は6月21日の国務会議で「世界的な防疫模範国家としてK防疫は国際的標準になった」と自慢した。大統領は「消費クーポンなど全方向的な内需補強策を推進せよ」とまで指示した。このような雰囲気に誰も反旗を翻すのが難しかった。政治防疫に科学防疫が立つ瀬がなくなった。かえって中央対策本部は中央防疫対策本部の警告と正反対の方向に進んだ。ワクチン接種者の海外旅行を許容するトラベルバブルを予告し、首都圏には8人の集まりまで許容することにした。現場専門家の意見は反映されなかった。

政治防疫の結果は残酷だった。6月30日中央対策本部は午前に距離確保の緩和を発表して半日でこれを取り消した。10日後、感染者が1000人を突破して首都圏に「第4段階」の非常命令を下した。

野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)代表はコロナ大流行を「大統領の呪い」と言って非難した。険悪な表現だが、それでも完全に否定することも難しい。「コロナが流行する直前には必ず文大統領の新型コロナ終息予言やK防疫自慢があった」という批判が一定部分事実であるためだ。


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