【ソウル=時吉達也】日本の朝鮮半島統治期に徴用工として動員されたと主張する韓国人の遺族が、日本企業の三菱マテリアルに損害賠償を求めた訴訟の判決で、ソウル中央地裁は11日、原告側の請求を棄却した。判決は、日本企業に賠償を命じた2018年10月の韓国最高裁の確定判決以前に提訴の期限を迎えていたと指摘。確定判決後に相次いだ追加提訴は事実上「無効」とする判断を示した形だ。

11日の判決は、元徴用工らの個人請求権が消滅していないとした韓国最高裁の初判断(12年)から3年が経過した15年に民事訴訟上の時効が成立したと結論付けた。原告側は1億ウォン(約950万円)の支払いを求め、17年に提訴していた。

いわゆる徴用工訴訟をめぐってはこれまで、追加提訴の期限を確定判決後「最長3年間」などとする判断などが下級審で示されてきた。今後、時効の成立時期が最高裁での争点に浮上しそうだ。

同地裁では今年6月にも、別の裁判官が最高裁判例を否定し、日本企業16社に対する原告側の賠償請求を却下する異例の判決を言い渡した。控訴審で審理が続いている。

産経ニュース 2021/8/11 17:19
https://www.sankei.com/article/20210811-H276UJO345NI5I5JUKVZVA3C6U/