今、旬を迎える高級ブランドぶどう。日本の農家が丹精込めて育てたものです。

 中でも、1房100万円以上で取引されることもある「ルビーロマン」は、大きさや糖度など厳しい基準もあり、石川県だけで作られているはずですが、ある問題が…。

 韓国・ソウルにある高級デパートでなぜか“韓国産”の「ルビーロマン」が売られていたのです。その価格は、日本円で1房 約8,000円でした。

 さらに山梨県限定のはずの「ジュエルマスカット」も“韓国産”として販売されていて、実はこれら、日本に無断で栽培されたものなんです。

 勝手に栽培しているという韓国の農家をたずねると、看板には「ジュエルマスカット」の文字。直撃取材すると…。

記者:
「取材をしたいのですが」

農家:
「カメラで撮らないでください」

 カメラでの取材は断られましたが、話を聞くことができました。

<生産者>
「手順を踏んで手に入れたものではない。日本側から見れば盗み出したと考えるが、先進国の立場で大目に見てほしい」

 さらに、ルビーロマンの苗木を販売する業者に話を聞くと…。

<苗木販売業者>
「世界的に見れば小さい話だ。すべて中国から輸入している。文句を言うなら中国に言え」

 こうした現状に山梨県で「ジュエルマスカット」を栽培する農家は…。

山梨園・向山亨園主:
「ほんと言葉が浮かばないですね…。山梨県の栽培農家の誇りやプライドをあまり傷つけないでほしいのは正直ありますね」

 高級ブランドぶどうの海外流出に、街の人は…。

男性:
「日本の生産者さんが頑張って品種改良して実を結んだものを盗んでっていうのはやっぱりよくない」

別の男性:
「商品として売らなければいいんじゃないですか?」

連れの女性:
「やっぱり勝手に植えてる時点でダメなんじゃない?ブランドがあるんだったら…」

 海外に流出するブランド農作物を取り締まる法律はないのでしょうか。菊地幸夫弁護士に伺います。

菊地弁護士:
「種苗法という法律、これは発明を保護する著作権なんかと同じような法律なんですね。品種を作り出した方が品種登録という形で正式に登録すると、その人専用ということで他の人が勝手に作れないようにできます。

 法律が改正されまして、今年4月以降は海外の持ち出しなどが規制できるようになったんです。しかし実際に今回のケースで持ち出されたのが4月よりも前だとその網に引っかからない可能性があるんですね。

 折角品種登録をしてということがあっても、外国までこの法律は追いかけていけないんです。だから外国でもし同じような制度で品種登録がやってあれば、その国での規制は出来るんですけど、今回はそこまではいっていないようで、ちょっと規制が難しいと。

 もしこれが規制違反ということになると、なかなか重くて、10年以下の懲役とか1000万円以下の罰金、会社でやった場合には3億円以下の罰金ということになっています」

――Q:一方、例えば制限されている品種を、果物の中に入っていた種などから家で育てるのは法的に可能なのでしょうか?

菊地弁護士:
「種苗法に基づいて品種登録したものは、自分専用でこれを栽培などできるんですね。ただ他の人でも、個人的に植えることは許可がなくてもセーフなんです。この法律で禁止されているのは、事業として職業としてとお考えいただけると良いかと思いますが、その場合がダメなんです。ですから個人の範囲、私的な範囲ではOKです。

 しかし、それを越えて育った実を人にあげたり、苗木や種を増やして誰かにあげたりなどということは、その先また広がっていくことにもなりかねません。そうすると生産者の権利が侵害されてしまいますので、これらはダメです。ですからフリマサイトなどで販売するなどということも規制にひっかかりますので気を付けてください」

(関西テレビ8月18日放送『報道ランナー』内「そこが聞きたい!菊地の法律ジャッジより)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9d62c1304f243662ad0f0e87a944724b6788e2cf