中国は16日、日本などが参加している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入を正式申請した。TPPによる中国包囲網に対する習近平主席の強い警戒感が背景にあるとみられるが、自由化と透明性が要求されるTPPはハードルが高い。他の加盟国との対立も抱え、門前払いの可能性もある。

 習主席は昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、TPP参加を「積極的に検討する」と表明していた。

 TPPには英国も参加を申請し、台湾も意欲を見せている。米国が離脱後、TPPを主導する日本では自民党総裁選が行われるなど政局が流動化している時期に加入を申請し、揺さぶりをかける狙いもあるようだ。

 だが、交渉入りには高い水準のルール順守が前提条件になる。TPPは国有企業への優遇や補助金で自由競争をゆがめることを禁じている。政府調達の際の外資排除や国外へのデータの持ち出し禁止を含めた強権的な自国優遇策も問題だ。共産党の一党支配をやめるぐらいの覚悟がないと加入は難しいのが現実だ。

 また、加入には全参加国の承認が必要だが、オーストラリアと貿易摩擦を抱えるほか、ベトナムとは南シナ海の領有権問題で対立、日本も尖閣問題に神経をとがらせている。

 いずれにせよ、中国の思惑に振り回されるのは得策ではない。


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