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坂本喜尚  映画「墨攻」監督

実際撮影現場では非常に感心しましたね。例えば物凄い大軍のシーン
で実際のエキストラが500人しかいなかった。それをキャメラの近く、少し遠めに
配置して後から大軍に合成しますとね。日本でそれをやると、演じる人間の後ろにブルーバックを張るわけです。
でも、香港のクルーは幕なんで張らないでどんどん撮っていいと言うんです。

驚いたのが80頭しかいない馬が、出来上がると何百頭もいる大軍になった時ですね。
これも撮影では80頭の馬を3回ほど別パターンで走らせただけなんです。それをあそこまで
のクオリティにまで持っていくのは、凄いと思いました。

なぜそういう事が出来るかと言えば、彼らはアメリカ映画にもスタッフで参加してるんです。
つまりアメリカ映画もやっていくためには、ハリウッドで通用する技術レベルが必要なんですよ。
日本映画の場合は、国内で採算が採れるように作品を作りますから、海外の技術レベルを意識してやってない。
だから国内で通じるレベルの域を出ていないんです。 技術的に日本だけ孤立してると大いに感じます。