ソウル市の建設現場で安全管理を怠った事例が千件以上摘発された。

韓国では6月に光州で撤去中の建物が崩れ、9人が亡くなり8人が負傷する事故が起きている。ソウル市はこのような建物崩壊事故を起こす恐れのある建設現場を調査し、1010件の違法・不良現場を摘発した。

ソウル市は江南、永登浦、江北、西大門、冠岳区など5つの自治区の民間建築工事場465カ所に対する合同安全監察の結果、解体及び着工、掘削、骨組工事などの全過程で1010件の違法及び不実事項を摘発したと25日明らかにした。

このうち215の現場に対しては告発、罰点、過怠料賦課などを自治区に要求する。総告発120件、罰点773件、過怠料賦課15件など、合わせて908件が行政及び違法措置とされたと明らかにした。

ある建物の解体工事現場では、解体残材をスラブ(床構造をつくり面に垂直な荷重を支える板)の上に過度に積み重ねたため摘発された。また、建物の荷重に耐えるジャックサポートを計画書と異なり少なく設置したり、位置を変えたりもした。いずれの場合も、解体工事時に建物が崩壊する恐れが大きいとされる。

他の新築工事場の場合、安全ネットが仮付けであったり、安全手すりを不良設置したりして、工事場の崩壊及び労働者墜落の懸念が提起された。新築工事場の安全管理部門だけで全579件の不良現場が摘発された。特にガスなどの危険物質を別途のロック装置なしで放置したり、危険物質付近(11m以内)で溶接作業を行ったりし、火災監視者も配置しなかった場合も多かった。
これらすべてが大規模な事故が発生する可能性のある要素とされ、施工管理部門でも、地下掘削土膜が仮設置に留まる不良施工や、鉄筋の施工不適正など59件の不適合事例が摘発された。

一方で、解体工事に着手する前、公務員と専門家が合同で現場確認を行うようにした「江南型解体工事場の安全管理基準」を樹立した江南区はベストプラクティスに選定された。江南区は2019年7月から解体工事場において安全点検の申請を受けた後、現場確認に伴う是正措置が完了してから工事の進行を許可するようにした。

ソウル市は建築工事場の安全管理実効性強化のため、産業安全保健管理費及び安全管理計画の樹立、定期安全点検に対する適正性と履行可否を容易に検討・確認できるよう、法定書式改正案などを設け、国土交通部に改正を提案した。

ソウル市の関係者は「安全ルールだけよく守っても大きな事故はいくらでも防ぐことができる」とし、「建設現場でこれ以上、切ない人命被害が発生しないよう、皆の努力が必要な時」と話した。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「建設業者が下請けに下請けを設けるのは100%金儲けのため。下請けがミスをしても元受けに責任を問える構造にしないと…」

「…最低価格入札なのに安全は無条件で守れというが、法的規制をしたいなら法を守りながらも稼げるようにしてくれないと…」

「罰金が少ないから繰り返される」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

コリア・エコノミクス 2021年10月26日
https://korea-economics.jp/posts/21102606/