寝耳に水の“外国人住民投票条例案”に武蔵野市騒然 反対派「外国人参政権」に危惧…松下市長は「論理の飛躍だ」と反論 自民・長島昭久氏「あまりに拙速だ」
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 「外国人の投票参加は本来、2〜3年かけてじっくり議論すべき問題だ。『多様性を認める』という美名のもと、安易に日本人と同じ権利を与えるのは、あまりに拙速だ」

 自民党の長島昭久元防衛副大臣は15日、地元のJR武蔵境駅前で約100人の聴衆を前に街頭演説し、こう語った。

 やり玉に挙げたのは「武蔵野市住民投票条例案」だ。市が昨年4月、「自治体の憲法」と呼ばれる「自治基本条例」を制定したのをきっかけに条例化を目指している。

 条例案には、「満18歳以上で3カ月以上、武蔵野市に居住すれば外国人であっても住民投票の投票権を認める」「投票権を持つ住民総数の4分の1以上の署名があれば、住民投票の実施を請求できる」とある。定住外国人とは、特別永住者のほか、留学生や技能実習生らも含むという。

 同市によると、外国人にも住民投票権を認めている地方自治体は全国で43ある(昨年12月時点)が、在留期間などの要件を設けているケースが多い。武蔵野市の条例案のように日本人と同じ要件なのは、大阪府豊中市、神奈川県逗子市に次いで3例目とみられる。

総務省によると、各自治体の条例に基づく住民投票の結果に、法的拘束力はない。ただ、今回の条例案には、「投票の結果を市長や議会は『尊重』して市政運営に反映させる」とあるため、長島氏は「実質的には『法的拘束力がある』と言わざるを得ない」と指摘する。

 住民投票といえば、かつて「平成の大合併」の是非を問う際などに多用され、結果が「尊重」される事例が相次いだ。実際、永住外国人が投票に参加したこともあった。

 長島氏は、こうした事態が外交・防衛分野に拡大するのを懸念している。夕刊フジの取材に15日、次のように答えた。

 「米軍基地を持つ別の自治体などで同様の条例化が進めば、『基地反対』を訴える(外国人を含む)一部の住民に、住民投票が『悪用』されるリスクがある。他国の勢力がこうした動きを利用する可能性が排除できず、国の根幹を揺るがしかねない。外国人の声を聞くなら、アンケートを取ればすむ話だ。なぜ、わざわざ常設の住民投票制度をつくるのか。これを突破口に『外国人参政権を認める』など、別の目的を追求しようとするのではないか」

 外国人参政権は公職選挙法上、認められていない。憲法第15条も「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と明記している。仮に、外国人参政権を認めれば違憲になる疑いが強い。

 松下市長は12日の定例記者会見で、外国人参政権の代替として利用されかねないとの懸念に対し、「論理の飛躍だ。同姓でも離婚する人がこれだけいるなか、夫婦別姓制度を実現すると『家族が壊れる』と言っている人に似ている」(産経新聞13日朝刊)と語った。

 夕刊フジは15日、松下市長に取材を申し込んだが、「市議会前で公務が立て込んでいる」として応じなかった。

◆市長支援の菅直人氏「お答えしかねる」

  武蔵野市議会(26人)は、条例案提出の19日を前に緊迫している。「反対」は自民党系(8人)など少数だ。

 自民党の小美濃安弘(おみの・やすひろ)市議は「松下市長が再選した10月の市長選で、市長側から『外国人の投票参加』に関する情報発信はほとんどなかった。市民の中には、『条例案の内容を知っていれば市長に投票しなかった』と訴える声も多い」と語る。

 確かに、松下市長は自身の選挙公報で、「より進んだ市民参加に挑戦するまち」を掲げたが、市民参加の「主体」についての言及はなかった。

 一方、容認派の若手市議は「外国人の投票を認めても、最終的にどうするかは市議会の判断だ。この『安全装置』が働く以上、条例案を否定する理由はない」と語った。

 先の市長選で、松下市長は、武蔵野市を含む衆院東京18区選出で、立憲民主党最高顧問の菅直人元首相の支援を受けた。選挙公報の「支持します」という政党には、立憲民主党や日本共産党、社会民主党、れいわ新選組などが並んでいた。

 そこで、夕刊フジは15日、菅氏にも条例案への見解を聞こうと質問状を送ったが、菅事務所は「お答えしかねる」と電話で回答してきた。

 武蔵野市役所前では15日午後も、反対派の市民ら20人以上が条例案の撤回を求めて声を上げ、騒然となっていた。

 松下市長はこのまま、条例案提出に突っ走るのか。

夕刊フジ公式サイト 2021.11.16
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/211116/dom2111160004-n1.html