新型コロナウイルスの緊急事態宣言を解除してから約50日が経過した日本だが、18日の新規感染者は全国で163人、東京都で20人と極めて低い水準だ。これに対し、韓国では同日、感染者が3292人と過去最多を更新、両国の「コロナ格差」は広がるばかりだ。一部の韓国メディアではコロナ政策の厳しさを示す「厳格度指数」に着目するが、専門家は「日本の『中庸』の姿勢が最善の対処となった」との見方を示す。

 英統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」に示された「厳格度指数」は、(1)学校閉鎖(2)職場閉鎖(3)公的イベントの中止(4)集会の制限(5)公共交通機関の閉鎖(6)自宅待機(7)広報(8)国内移動の制限(9)海外渡航規制−の9つの指標から政策の強度を換算したものだ。

 16日時点で主要な国の指数をピックアップしたのが別表だが、最も厳格なのがギリシャで、続くのが中国。日本は真ん中よりやや上、韓国は下位グループだ。

 韓国は一時、厳格な「K防疫」を誇っていたが、1日以降、「ウィズコロナ」として防疫措置の緩和を実施した。東亜日報(日本語電子版)は「明かりが消えていた首都圏のグルメ街は再び不夜城」「防疫パス(=接種証明)を適用してもプロ野球は観衆で満員だ」と報じた。
制限緩和で厳格度指数が低下したことが感染者の増加につながったというのだが、それだけが要因ではなさそうだ。

 前出の指数が最も高いギリシャは屋内や混雑した屋外でのマスク着用義務があり、多くの施設や公共交通機関でワクチン接種証明書などの提示が必要だ。銀行を含む企業への訪問も原則予約制で、イベント開催には違反金が科されることもあるという厳しさだが、今月に入って過去最高水準の新規感染者が出た。

 対照的に指数が最下位のスウェーデンでは、今回は大きな感染の波はみられない。

 東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は「国内の第5波の収束は厳格度とは関連しておらず、むしろ緩めたほうが感染が減少している」と指摘する。

 欧米には厳しいロックダウン(都市封鎖)と大胆な規制緩和を繰り返した国も多いが、児玉氏は「オンとオフがはっきりしているのはかえってリスクが高い。日本は様子見をしつつ『中庸』を続けたことが、結果として先進国で最善の対処になったといえる」との見方を示した。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/211119/for2111190003-n1.html