■【デルタ・オミクロン複合ショック】重症・死亡急増…不安な高齢者層

準備ができていなかった「ウィズコロナ(段階的な日常生活の回復)」措置のせいだろうか。韓国で新型コロナウイルスに感染しても病床が空いていないため、待機している間に死亡する患者が急増している。

病床不足問題の余波は最近、新型コロナ患者から一般重症者へと広がる様相を呈している。ソウルのある大学病院では、救急治療室に設置された7室の陰圧室がほぼ毎日、新型コロナ患者でいっぱいになるため、重症の外傷や脳出血、敗血症など陰圧室が必要なほかの患者たちが入れずに困難な状況に陥っているという。

既に全国の主な病院で重症者用病床は飽和状態となっている。ある一般病院の医師は「どの病院でも患者の移送要請は断られることが多い」と言った。新型コロナ患者が数十−数百時間にわたり陰圧室などで延命したり、きちんとした治療を受けられないまま死亡したりすることがあるという意味だ。

韓国疾病管理庁中央防疫対策本部が5日に明らかにしたところによると、先月21日から27日までの1週間に新型コロナ重症者用病床の割り振りを待っていた10人が亡くなったという。その前週(14日から20まで日)はこうした死亡者が3人だったので、3倍以上の急増だ。

「ウィズコロナ」措置を開始した当初の3週間(10月31日から11月20日まで)における待機中の死亡者は6人で、1週間当たり平均2人だった。だが、それが5倍に増えたのだ。

梨花女子大学木洞病院救急医学科のナムグン・イン教授は「今の医療体制崩壊が続けば、新型コロナに感染した高齢者をはじめ、体力のない多くの人々が死んでいくだろう」「その終わりが見えないというのはさらに問題だ」と話した。

政府は12月の1カ月間、60歳以上の720万人に対してブースター接種(追加接種)を行うことを決めた。しかし、医療体制が崩壊直前であることから、「高齢者らにとっては『残酷な月』になるかもしれない」という声も聞かれる。

高齢者らが集まるグループチャットなどでは最近、「年末までそれぞれ自分で体に気をつけよう」というトークが増えているとのことだ。

60歳以上の人の相当数は現在、2回目のワクチン接種から4−5カ月が経過し、新型コロナウイルスに対する抗体が下がっている状態だ。このような状態で首都圏・忠清道・江原道など全国各地で病床がなくなり、「(新型コロナに)かかれば死ぬ」という不安が高まっている。

事実、最近1カ月余りを見ると、60歳以上における「感染者」「重症者」「死亡者」という新型コロナ3大指標はほかの年齢層に比べて急速に悪化している。


2021/12/06 10:10
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