「新型コロナで人が死ぬとようやく病床が空き、新しい患者を受け入れることができるという『死のサイクル』に対する厳しい非難が現場に蔓延している」(チョン・ヒョンジュン人道主義実践医師協議会・公共医療委員長)

新型コロナウイルス感染症の新規感染者が7千人台を記録し、病床稼働が臨界値に達したとの分析が出ている中、医療体系はすでに事実上崩壊しているという証言が出た。保健医療界と市民団体は、政府の在宅治療基本政策によってホームレス・移住労働者など脆弱階層が事実上放置されていると指摘する。

9日午前、民主労総の公共運輸労組医療連帯本部など保健医療関係の市民団体は、ソウル鍾路区(チョンノグ)の医療連帯本部の講堂で「コロナ危機現場証言大会」を開いた。

この場でチョン委員長は「重症患者の病床稼働率には虚数がある。病床を100%回すことは不可能なので、稼働率80%で全部埋まったという意味だ」とし「生活治療センターに入らなければならない人が自宅におり、入院病床に入らなければならない人が生活治療センターにおり、集中治療室で治療を受けなければならない患者が一般病室にいる」と述べた。

さらに、チョン委員長は「新型コロナ専用病床で酸素治療以上の処置が必要な重症患者の割合が、10月まで10〜20%程度だったが、今は30〜50%まで上がったという」とし「一部の新型コロナ専門病院では、高齢患者が入院する際、悪化しても集中治療室での治療が不可能だという状況を説明し、延命医療中止同意書を作成するよう患者と保護者に要請している」と付け加えた。

新型コロナが拡散している状況にもかかわらず、民間病院が「厳しい患者」を拒否し、患者たちが公共医療体系に集中しているという証言も出た。ソウル大病院の国家隔離病床で働く「行動する看護師会」所属のチェ・ウニョン看護師は「(ソウル大病院の場合、新型コロナの)ある病棟の12病床のうち6人が妊産婦であるケースもある」とし「ソウル地域にはコロナに感染した妊産婦を入院させられるところがソウル大病院と国立中央医療院の2カ所しかないため」と述べた。

政府の「在宅治療基本化」政策発表後、ホームレス、移住労働者、障害者などは事実上「放置」状態に置かれているという指摘も出た。ホームレス支援活動に参加する「下の村ホームレス夜学」学生会長のローズマリーさんは「ホームレスにとって自宅隔離や在宅治療は遠すぎる話」と述べ、「ホームレスの中で発熱した人がいれば、病院・臨時治療施設・生活施設と連係した後、病院に移して(コロナの)拡散を防がなければならないのに、そのままにしているのが現実」だと話した。

移住動労者労組のウダヤ・ライ委員長も「移住労働者は感染したら在宅治療ができる状況ではない。移住労働者のほとんどが寮に複数で住んでおり、寮の環境は非常に劣悪だ。コンテナ、組み立て式パネル、事業場内の臨時施設のような仮建物がほとんど」だとし「患者が(すぐに)治療施設に行けないので苦しんでいる」と話した。

全国障害者差別撤廃連帯のキム・ピルスン企画室長は、「先月、障害者の感染者が発生したため病床確保を要求したが、すでに病床が埋まっている状況だとして待機せよとばかり言われた。在宅治療のために緊急ケア・活動支援士の派遣を要請したが、『自宅隔離者には派遣が可能だが、感染者には活動支援士を派遣できない』という返答が返ってきた」と証言した。

療養院も病床待機が長引いている状態だ。医療連帯本部のパン・ウンスク療養施設組織局長は、ソウルのある市立療養院の集団感染の事例を挙げ、「先月末から入所者9人など計16人が感染した。感染した後、療養院で3〜4日ほど入院待機しているうちに(入所者の)1人が亡くなった。もう1人は急いで病院に搬送したが、搬送直後に病院で死亡した」と話した。

パン局長はさらに「高齢者5人は現在、全員(療養院の)安定室に隔離されていて、病院への移送について調べているが、具体的な計画はない」と述べた。前日午後5時現在、首都圏のコロナ重症患者の病床稼働率は85.0%、全国の稼働率は78.8%。専門家らは、政府が病床確保など公共医療体系作りにもっと積極的な措置を取るべきだと指摘した。

人道主義実践医師協議会のウ・ソクキュン共同代表は「非救急、非重症患者を除けば、上級総合病院の病床の10〜20%を空けることは可能だ」とし、上級総合病院のコロナ治療病床を追加で確保すべきだと主張した。釜山大医学部のユン・テホ教授(予防医学科)は「コロナ患者のための病床を提供するという病院を丸ごと借りて確保すべきだ」とし「重症患者の病床を効率化しなければ、引き続き不足しているという論理から脱することはできない」と述べた。

ハンギョレ新聞/2021-12-10 10:17
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/41953.html