原爆投下から76年が経過した長崎市と韓国の大学生への核兵器に関する意識調査で、ともに9割超が「核兵器のない世界」の実現は難しいと感じていることがわかった。長崎の学生の8割が自国の核武装に反対する一方、韓国は4割にとどまるなど、認識の違いも浮き彫りとなった。

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の中村桂子准教授と、韓国・韓信大の李起豪教授が共同で昨年12月に調査し、長崎大の61人と韓信大の70人から回答を得た。

 核兵器のない世界が実現する可能性について聞いたところ、長崎大は「まったくない」「どちらかといえば低い」をあわせて95%だった。理由として「核保有国が手放さない」、「なくしたら世界はより不安定になる」などを挙げた。韓国はあわせて93%だった。

 核兵器の保有や使用に関しては、「よくない」が長崎大の84%に対し、韓国は63%。自国の核武装への反対は、長崎大が82%で、韓国は40%にとどまった。

 核兵器を全面的に禁止する核兵器禁止条約の発効から、今月22日で1年となる。ただ、条約のことを知らない学生も、ともに2割以上いた。

 中村准教授は長崎大の調査結果について、「核兵器廃絶の必要性は理解している。だが、被爆を過去のこととして捉え、主体的にどうすればいいのかまで考えが及んでいない」と分析する。

 RECNAと国際基督教大平和研究所は李教授らの協力も受けながら、2022年度、日韓の若者に向けた平和・軍縮教育プログラムをつくる。両国の歴史認識の違いを克服し、双方の教育現場で使える教材づくりを目指すとしている。

讀賣新聞 2022/01/14 13:24
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220114-OYT1T50140/