立憲民主党がインターネット番組制作・配信の「Choose Life Project(CLP)」に約1500万円を支出していた問題を巡り、当時幹事長だった福山哲郎参院議員(京都選挙区)が15日までに京都新聞社のインタビューに応じた。資金提供については枝野幸男前代表の了承を得ていたことを明らかにし、党の調査で「適切でない」と結論付けられたことについては「適切であるとか適切でないとかという判断をする類いのものではない、というのが僕の見解」と改めて違法性がないことを強調した。

 CLPは元テレビディレクターらが2016年に立ち上げ、与野党幹部やジャーナリストらが重要法案について議論する番組や、安倍晋三元首相が主催した「桜を見る会」を巡る問題の特集などを配信してきた。

 立民は20年春から約半年間、大手広告会社などを挟む形で「番組制作費」として資金を提供。CLPは同年7月に「公共のメディアをつくる」と法人化してクラウドファンディングを開始し、9月で立民からの支援は終了した。

 福山氏は「テレビ局の記者だった方が会社を辞めてまでフェイクニュースに対抗するメディアをつくりたい、ユーチューブで展開したいという理念に共感したので、それに対して一定のスタートアップの資金は支援しましょうと。その代わり、私は番組内容などについては一切関与も介入もしない。それ以上でも、以下でもない」と主張。CLPが自立できる状況になった時に「約束通り、もう資金の提供は結構ですと言ってきたので、私はよかったねと言って資金の提供をやめた」と経緯を説明した。

 会員制交流サイト(SNS)を含むメディア対応は幹事長に原則一任されていたとした上で「代表に伝え、了解をいただいた」と枝野氏の関わりを明かした。

 問題が発覚したのは今年1月。過去に番組に出演したジャーナリストの津田大介氏や東京新聞記者の望月衣塑子氏ら5人が連名で「『公共メディア』を標榜しつつも、実際には公党からの資金で番組制作を行っていた期間が存在する」「その期間、公党との関係を秘匿し、一般視聴者から資金を募っていた」とCLPへの抗議声明を出した。

 福山氏は直後にコメントを発表したが、報道陣に直接説明する場を設けなかった。幹事長時代、政府・与党の不正などが起こるたびに「説明責任」を求めていながら、なぜ会見を開かなかったのか。

 「私は会見してもいいと執行部に言ったけど、執行部に止められたと言わざるを得ない」

 福山氏への聞き取りを実施した上で調査結果を公表した立民の西村智奈美幹事長は、資金提供自体は違法ではないものの「適切ではなかった」と陳謝。政党が特定のメディアに資金提供していた事実を公表せず疑念を招いた▽そもそも特定のメディアに資金を支援することが適切か▽党とCLPの両者で公党からの支援が適切かどうかを組織として議論・検討した形跡がない−と問題点を挙げた。

 福山氏はCLPに関し「ユーチューブの対談番組」との認識を示し、放送法で各種規制を受ける「メディア」とは一線を画すと指摘。「地上波のテレビ番組や大手新聞社にない視点でいろんな選択肢を考える機会をつくることは、民主主義の装置として必要。今のメディアの報道姿勢に対する小石を投げた」と評価した。

 税金が原資の政党助成金を得ている公党として、今回の使い道は妥当と考えるか。そう問うと「ちゃんと使途報告している」と述べ、支出の判断自体には特に問題なかったとの考えをにじませた。

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/750511