韓国で骨肉の争い続ける旧統一教会、金融街にランドマーク保有
10男7女の子供と後妻・韓鶴子氏が繰り広げる悍ましき争いとは
アン・ヨンヒ

安倍晋三元総理を狙撃・殺害した被告が旧統一教会(韓国では「統一教」と呼ぶ)との関連で恨みを持っていたということから、韓国でもまた「統一教」について関心が高まっている。

7月19日には、クァク・ジョンファン元統一教の世界会長が記者会見を開き、安倍元総理が狙撃されたことにショックを覚え、心から謝罪すると述べた。そして次のように続けた。

「文鮮明氏の3男である文顯進会長は、日本の教会を献金をひねり出す『経済部隊』から真の家庭の理想を実践し、拡散させる正常な摂理運動組織に変えていこうとした」

「しかし、文顯進会長の試みは最初から教団から抵抗され、結局その後、日本に対しては手を出せないでいた」

クァク・ジョンファン氏は、文鮮明氏が存命していた頃は「統一教の二番手」と呼ばれ、統一教会内で数々の要職についていた人である。

つまり、日本の旧統一教会は元々お金をひねり出すところだという認識があったということである。

統一教は、韓国のキリスト教の中でも異端視されているが、教育機関(小中高、大学など)を運営しているため、意外にかかわりを持ってしまう場合もある。

韓国に本部を置いているが、日本や米国での影響が大きいのも韓国人にとっては意外である。

実際、韓国で活動する統一教信者の半分以上が日本の女性で、韓国において聖地と呼ばれている場所には韓国人より日本人の方がずっと多いという。

さて、「統一教」の名称は、「世界のすべての主義、思想、政治そして宗教を一つの道で完全に統一させる」という意味を持っている。

初代教祖の文鮮明氏は自らメシアであると主張し、2度の結婚と婚外妊娠で10男7女をもうけた(このうち、再婚相手の韓鶴子(ハン・ハクジャ)氏との間に7男7女)。

だが、亡くなった後、その妻である韓鶴子が率いる「世界平和統一家庭連合」と、3男の文顯進氏が率いる「家庭平和協会」、7男の文享進氏が率いる「世界平和統一聖殿(サンクチュアリ)」と3派に分かれた。

特に、韓鶴子氏は文鮮明氏が使っていた「統一教」という名称を捨て、「世界平和統一家庭連合」に変え、家庭連合元年である2013年を起点に「天一国」という独自の年号を使っている。

3派は、それぞれ文鮮明氏が作り上げた「統一教」とは異なる教理を示している。

3男は自分が「4次アダム」だと主張し、7男は「2代目王」、妻の韓鶴子氏は「独生女」だと主張し、それぞれ我こそが真の後継者であるという。

3派の首長は、実際の親子であるにもかかわらず、互いを批判し訴訟合戦をするなど、「家庭連合」という名称も真っ青の破綻ぶリである。

文鮮明氏が生きていた頃は、彼を中心にまとまっていた教団が、なぜこうも骨肉の争いになったかというと、やはり莫大な資金が背景にあるからだといえよう。

そして、文鮮明氏が後継者を見誤ったからともいえる。

文鮮明氏は、韓国の家長制度にちなんで、前妻の子供である長男に継がせようとしたが、長男は統一教には興味がなく、音楽(特に、ヘビーメタル)の道へ進んだ。

しかし心臓麻痺で死亡。また彼が一番大事にしていた次男は交通事故で早死にした。

そうして、3男(コロンビア大学学士、ハーバード大学経営学修士)に白羽の矢が立ったのだった。

実際、3男が1998年頃から後継者として指名された。

しかし、3男は統一教の宗教的な色合いをできるだけ減らし、社会運動を強調した。

つまり、そろそろ新興宗教はやめて、社会活動家の道へ進もうということだ。だから、文鮮明氏を宗教の教祖というよりは、平和統一活動家として尊敬していると言っている。

これが父親の逆鱗に触れた。

文鮮明氏は、あわてて3男から7男に後継者を切り替えた。7男は、父親の意向に従い宗教色を強めると宣言した。

このように統一教の中では、文鮮明氏が生きていた頃から分裂の兆しが見えていた。(省略…)

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71063
960