韓国の若者に大ブーム、「ドケチ生活を楽しもう」の背景
モッパンから小食座、ゴルフからテニス、そして無消費へ
アン・ヨンヒ

韓国料理はサイドディッシュの豊富さとボリュームも大きな魅力だが・・・
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日本と韓国の比較で、日本人は小食、韓国人は大食漢という印象があるのではないだろうか。

大体韓国で外食すると、焼肉2人前を頼んだだけでも、複数のキムチ、ナムル、生野菜などがお替り自由で付いてくる。

その感覚で日本へ行くと、いつも物足りなさを感じるのが韓国人だ。

ユーチューブなどでも、大食いコンテンツを「モッパン(韓国語で『食べる放送』の意味)」という用語が浸透しているほど、韓国では大食いがトレンドでもあった。

しかし、最近そのブームに少し陰りができ、今は真逆の「小食」がトレンドになりつつある。

最近、「一口で十分」というキャッチコピーで人気を呼んでいる企業も登場している。「ジョーン・クック・デリ・ミート」という企業だ。

その広告のモデルにも、芸能界でも小食で有名な人を起用している。

食品会社のキャッチコピーとして、これでいいのかなとも思えるが、これが韓国における現在のトレンドによく合っているという。

企業側の意図としては、「小食の人は、一口しか食べない代わりにできるだけ美味しいものを選ぶ傾向がある。そこで、小食の芸能人を広告モデルにした」という。

テレビやユーチューブでも大食い系の「モッパン」より、小食の人が出演するグルメ系の方が人気を得るようになってきたのだ。

そしてそうした小食の人を指して「小食座」と呼んでいる。

「小食座」の「座」は、もともと韓国のネット用語で「本座」というのがあり、それは「特別に秀でている自分という意味」である。

その「本座」と「小食」を掛け合わせ、「小食座」という言葉が生まれた。

つまり、「小食座」は、「小食をするすごい人」という意味になる。

食品業界の分析によると、最近の小食座のトレンドは「モッパン」に対する疲労度からきているという。

これまでは、自分が食べなくても「モッパン」でお腹いっぱいに食べる人を見ることで、満足を得ていた。

しかし、「モッパン」に見せかけて、本当はゴミ箱に食事を捨てるインチキも発覚。

また、食べ過ぎをずっと見続けることに疲労感を覚える人が増えたことがトレンドが小食に向かうきっかけになったと分析している。

そういった意味で、最近韓国のテレビで麺をすする音が問題になったことがあった。

韓国で食べっぷりが豪快なイ・ヨンジャという女性コメディアン兼司会がいる。

彼女が、大ヒット映画「イカゲーム」の主人公であるイ・ジョンジェを自分の番組に迎えて一緒に食事をした。

食事の中身は韓国の辛い混ぜ素麺。

イ・ジョンジェは麺を少しずつ切りながら上品に食べていると、イ・ヨンジャは「麺を食べるのになぜ音を出さないの?」と言いながら、ズルズルと豪快に音を立てて麺をすすった。

これを見た一部の視聴者が、「音を立てて食べるなんて不快だ」「麺を豪快にすすっているので汁や調味料が四方に飛ぶ」などとテレビ局に抗議した。

韓国のテレビでは、モッパンが流行っている時は豪快に見える食べ方を好んできた。少し大げさに麺をすすったりすることも良しとされてきたのだ。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71494