2年間で15倍も値上がりしたLNG…「生産量ゼロ」韓国の危機感も高まる
・ロシアが欧州への天然ガス供給を中止してから 
・下半期に入ってさらに急騰 
・韓国国内の需給はまだ問題ないというが 
・長期化の場合は電気料金引き上げの圧迫強まる 
・「エネルギー自立」に向けた中長期対策が必要「脱化石燃料の比重拡大の契機にすべき」

国際液化天然ガス(LNG)の価格が下半期に入ってさらに急激な上昇傾向を示している。ロシア産天然ガスの供給縮小の影響で「エネルギー安全保障」の危機感も広がっている。韓国ガス公社とエネルギー大手は需給に大きな問題はないと自信を示しているが、エネルギー安全保障のレベルで、エネルギー自立のための中長期対策作りが急がれるという声が高まっている。

23日、韓国と日本がLNG価格の指標とするJKM(Japan Korea Marker)の推移によると、LNG価格は7月21日には1mmBtu(百万英国熱量単位:25万キロカロリーの熱量を出すガス量)当り38ドルだったが、今月22日には61ドルに値上がりした。1カ月で60%上昇しており、2020年の平均価格の3.8ドルに比べると16倍上がったわけだ。

ただし、需給問題はまだない。LNGを直輸入するある企業関係者は「現物市場価格が急騰したが、中・長期契約で調達してきたため、大きな問題はないと思う」と語った。 韓国ガス公社関係者は「LNGは常に冬季在庫量が多く必要だ。年月単位で見通しと対応を行い、告示に定められた備蓄義務量(9日)以上を維持している。ただし、最近の国際ガス価格など環境は厳しい」と明らかにした。

天然ガス価格が急騰したのは、ロシアとウクライナ戦争の長期化でエネルギー供給・需給網がまともに作動していなかったためだ。米国と欧州連合(EU)がロシア制裁に乗り出したことを受け、ロシアはEU側に送っていた天然ガスのパイプラインを閉めており、冬が近づくにつれ状況はさらに悪化している。

このような状況で、世界各国はそれぞれの方策を探っている。日本経済新聞の20日付報道によると、東京電力・ガスなどエネルギー関連企業がロシア側とLNG購入契約を締結したという。国際研究機関の「エネルギー・クリーンエア研究センター」(CREA)が22日に公開した報告書によると、ウクライナ戦争が勃発したこの2月から7月までに、ロシアのエネルギー企業のガスプロムから日本のJERA(東京電力出資会社)は5億4900万ドル、台湾のTai Powerが1億6100万ドル、韓国ガス公社は2億400万ドル分のLNGを輸入した。

韓国は主に米国やカタールからLNGを輸入してきたが、今年2月以降、ロシアからLNGを7番目に多く輸入する国となった。韓国ガス公社の関係者は「ロシアが西側諸国の制裁を受けているため、韓国の順位がさらに高くなった可能性もある」と説明した。CREAも「これからはアジア諸国がロシア産の化石燃料を比較的多く購入することになるだろう」と見通した。

天然ガスの需給不安は長期的な問題になるというのが大方の予想だ。短期的には、ウクライナ戦争をめぐるロシアと西側諸国との対決状況が悪化し、天然ガス需給状況も悪化する可能性が高い。また、清浄エネルギーに転換する過程で「ブリッジ燃料」として天然ガスが注目され、天然ガスの需要が高まっている。「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)によると、LNGの炭素排出量は石炭類の57%だ。「韓国電力統計」によると、国内のLNG発電の割合は2017年の22%から昨年は29%に上昇した。

欧州のエネルギー関連企業各社の天然ガスの契約期間が20年から5~10年に縮小したことで、現物市場で天然ガスの価格が敏感に反応している。また、2020年末以降、英国輸出信用保証局(UKEF)や欧州投資銀行(EIB)、スウェーデン輸出信用公社などが、天然ガスを含む化石燃料に対する金融支援を制限する政策を導入し、LNG供給量が増加する可能性も低い。

LNG価格の上昇に伴い、電気料金の引き上げ圧力も大きくなる公算が大きい。天然ガス発電の割合が拡大しているからだ。発電を基準に石炭・原子力は建設費のような固定費が多くかかるが、燃料費自体は少なくて済む一方、ガスは建設費用は相対的に少ないが、燃料価格が高い。ある国策研究機関の電力政策担当研究員は「ガス料金が上がれば電気料金の引き上げ要因になるが、電気料金をそれに合わせて引き上げるのは政府にとって負担になるだろう」と説明した。(省略…)

チェ・ウリ記者

ハンギョレ新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/6480154dcfde9dcbcfa72e75ee7381f7944ce753