23年度国防予算案 4.6%増の5.8兆円=韓国

2023年度の国防予算で、北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応する韓国型3軸体系の予算が増額される。3軸体系のイメージ=(聯合ニュース)
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【ソウル聯合ニュース】韓国政府は30日、2023年度(1~12月)国防費として総額57兆1268億ウォン(約5兆8000億円)の予算案を編成し、9月2日に国会に提出すると発表した。22年度(54兆6112億ウォン)から4.6%(2兆5156億ウォン)の増額となる。中でも、北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応するための「韓国型3軸体系」の予算を9.4%増やした。

政府案によると、来年度の国防予算の内訳は防衛力改善費が前年比2.0%増の17兆179億ウォン、戦力運営費が5.8%増の40兆1089億ウォン。

 韓国型3軸体系については予算を5兆2549億ウォンと9.4%増額し、強化を図る。3軸のうち、北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知して先制攻撃する「キルチェーン」では中高度偵察用の無人航空機に1294億ウォン、発射されたミサイルを迎撃する「韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)」では地対空誘導弾パトリオットの性能改良に1292億ウォン、長距離砲迎撃システムに769億ウォン、北朝鮮から攻撃された場合に指導部などに報復攻撃を行う「大量反撃報復(KMPR)」に関しては230ミリ多連装ロケットに417億ウォン、大型機動ヘリコプター事業に3507億ウォン、3000トン級の潜水艦事業に2486億ウォンを投じる。

 作戦的な対応能力の強化として6兆6447億ウォンの予算を組んだ。K2戦車の第3期量産が1788億ウォン、3000トン級の次期護衛艦事業が4295億ウォン、戦闘予備弾薬の確保が9749億ウォンなど。 

 有人・無人の複合戦闘システムには1660億ウォン、宇宙・サイバー分野の偵察・監視能力の向上には683億ウォンをそれぞれ振り向ける。

 重要技術の強化には1兆3959億ウォンを投じる。極超音速飛行体の設計やステルス無人編隊機用の技術・試作機の開発などに取り組む。

 防衛力改善費が国防予算全体に占める割合は従来3割を超えていたが、来年度は29.8%に縮小する。防衛事業庁によると、艦艇や航空機などの大型事業の終了により関連分野の予算が減るためで、追って次世代戦闘機の第2期事業などが始まれば予算は再び増える見通しだ。

 文在寅(ムン・ジェイン)前政権が推進していた軽空母事業は来年度予算に反映されなかった。今年、基本設計の入札公告があるかどうかも不透明だ。この事業は周辺国の海洋進出に備え、3万トン級の軽空母を建設するものだった。

 政府の23年度の歳出総額が前年比5.2%増と、22年度の増加率(8.9%)に比べ縮小する一方で、国防予算の増加率は今年の3.4%から来年は4.6%に拡大する。これは地方交付税・教育交付金を除いた中央政府の12の歳出分野で、外交・統一(7.3%)に次いで2番目に増加率が大きい。

 国防部は「政府は財政健全化を目指す中でも、深刻な安全保障状況を考慮し、国防分野に財源を重点配分した」と説明した。

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