「ハウステンボス」 香港の投資会社への売却 正式発表

長崎県にあるテーマパーク「ハウステンボス」が香港の投資会社に売却されることになり、大手旅行会社「エイチ・アイ・エス」などの株主が売却の方針を30日、正式に発表しました。

「ハウステンボス」をめぐっては運営会社の株式の66%余りを大手旅行会社の「エイチ・アイ・エス」が保有し、残りの株式を九州電力や西部ガスなど九州の企業5社が保有しています。

各社は保有する株式を香港に拠点を置く投資会社「PAG」に合わせて1000億円で売却する方針を決め、30日、各社が正式に発表しました。

売却後も「ハウステンボス」の営業は続けられる見通しです。

「ハウステンボス」は2003年に会社更生法の適用を申請したあと投資会社の支援を受け、2010年からは「エイチ・アイ・エス」の傘下に入って経営再建に取り組んできました。

コロナ禍で入場者数が一時大きく落ち込みましたが、このところは回復傾向にありました。

一方、筆頭株主の「エイチ・アイ・エス」は新型コロナの影響による主力の海外旅行事業の落ち込みで厳しい業績が続いていて、「ハウステンボス」の売却で財務状況の改善につなげたいねらいがあるとみられます。

【ハウステンボス 広報は】
これについてハウステンボスの広報担当者はNHKの取材に対し、「今後も地域と連携し、これまでと変わらず地域の皆さんに愛されるハウステンボスであり続け、新しい株主とともに、魅力あるテーマパークを目指していきたい」とコメントしました。

【坂口社長「社長継続要請された」】
ハウステンボスの坂口克彦社長はツイッターを通じてコメントを発表しました。

坂口社長は「これまで社員といっしょに実践してきた組織経営を評価頂き、代表取締役社長の継続を要請された。社員一同、さらに多くの感動体験を創出し、ハウステンボスを応援していただく皆さまのご期待にそえるよう尽力したい」とコメントしています。

【ハウステンボスとは】
ハウステンボスは1992年、東京ドーム33個分の広大な敷地に総事業費2200億円をかけて、オランダの町並みを再現したテーマパークで開業しました。

2003年、多額の初期投資やバブル崩壊の影響で会社更生法の適用を申請します。

その後、投資会社の支援を受け、2010年からは大手旅行会社「エイチ・アイ・エス」の傘下に入ります。

社長にはエイチ・アイ・エスの創業者の澤田秀雄氏が就任し、経費の削減を進めるとともに大規模なイベントを次々に展開し、経営再建を図りました。

その結果、よくとしには開業以来初の黒字化を果たし、年間およそ300万人が訪れるテーマパークに成長しました。

ここ数年はコロナ禍で入場者数は一時、大きく落ち込みましたが、このところは回復傾向にあり業績は持ち直しつつあります。

ハウステンボスをめぐっては、長崎県がカジノを含むIR=統合型リゾート施設の誘致に向けてことし4月には国への申請を行い、現在、審査が進められています。

今後はハウステンボスの経営を引き継ぐことになる香港の投資会社「PAG」が、今後、どのような事業戦略を打ち出し、長崎県のIR誘致計画についてはどのように対応するのか、注目されます。
(省略…)

https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20220830/5030015827.html