「地獄の門が開かれた」…アジアをかつてなく焦土化させた「モンスターモンスーン」の正体

「『モンスターモンスーン(Monster monsoon)』が全国に果てしない大混乱を引き起こしています」--パキスタンのシェリー・レーマン気候変動長官。

パキスタン全域が類例のない夏の大雨によって史上最悪の洪水被害に見舞われている。先月30日(現地時間)、ロイターによると、洪水によってパキスタン国土の3分の1が水没し、子ども380人を含む1100人以上の人々が死亡した。また、パキスタンの人口の7人に1人にあたる3300万人以上が洪水被害を受けたと推算される。

特に、最悪の洪水はパンジャブ州やシンド州などインダス川沿いで発生した。シンド州は8月初めから26日まで平年降水量の780%を越える443ミリの雨が降り、川が氾濫して家屋が倒壊し、道路が寸断されるなど最悪の被害が発生した。シンド州のある官僚はBBCとのインタビューで「聖書にしか出てこないような洪水」とし「地獄の門は開かれた。対策はない」と話した。

米国航空宇宙局NASAが30日に公開した衛星写真にはインダス川周辺の陸地が洪水によって水没した様子がそのまま捉えられた。シャバズ・シャリフ首相は「今回の洪水はパキスタン史上最悪」としながら「全国で被害を受けたインフラを復旧させるためには100億ドル(約1兆3900億円)以上必要」と述べた。

◆パキスタンを焦土化させた「モンスターモンスーン」とは

このようにパキスタンに類例のない洪水被害が発生したのは、いわゆる「モンスターモンスーン」が降らせた記録的な夏の集中豪雨のためだ。モンスーンはアラビア語「マウシム(Mausim)」に由来した言葉で「季節」という意味がある。モンスーンは海と大陸が出会う場所で発生するが、陸地と海の温度差によって冬には大陸から海へ、夏には海から大陸へ季節風が吹く現象を指す。パキスタンやインドなど南アジア一帯と韓国を含む東アジアなどアジアの多くの国々がモンスーン気候の影響を受ける。

特に、モンスーンは夏になると海から水蒸気を吸い上げて陸地に多くの雨を降らせる。韓国で梅雨と呼ばれる夏の集中豪雨現象が発生するのもこのような理由からだ。

問題は地球温暖化がモンスーンをさらに強烈かつ不規則な「モンスターモンスーン」にしているということだ。気温が上昇して大気中の水蒸気の量が増え、これによってモンスーン気候の影響圏にある地域に集中豪雨が頻繁に発生し、その強さもさらに増した。実際、気温が1度上昇すると大気が保持できる水蒸気量は7%ほど増加する。

◆海から水蒸気を運んでくる…韓国・パキスタンなどに「水爆弾」

今夏、韓国やパキスタンなどモンスーン気候地域にある国々が記録的な水爆弾の被害を受けたのも異常なほどの水蒸気量と無関係ではないと気候専門家は分析した。

モンスーンを研究している釜山(プサン)大学大気環境科学科のハ・ギョンジャ教授は「温暖化の影響で暖められた海が水蒸気を生成しているうえ、空気もより多くの水蒸気を保持することができるので、季節風に乗って陸地に絶え間なく水蒸気が運ばれている」とし「これによってパキスタンなどの地域的に、洪水を誘発する極端な降水が発生している」と説明した。

https://japanese.joins.com/JArticle/295051
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